結果論

皆さん初めましてこちと申します。このペンネーム、初めは漢字で東風と書こうと思っていましたが、恐らく多くの方が読めないだろうと思い、平仮名にしました。
初心者の上、更新も亀並みの鈍さになるかと思いますが、心優しく見守って頂けますと有難いです。

超直感少女と天才少年



皆さんは、超直感(ちょうちょっかん)という物をご存知だろうか。

超直感とは、読んで字の如く、超人的な直感力(ちょっかんりょく)のことを言う。
では、直感力とは一体何なのか。これには諸説あるが、世間一般でよく言われているのは『直感で自分にとってより良い選択をする力』である。


ここに一人の少女がいる。名前は田仲(たなか) 満花(みちか)。少し癖のある、肩下までの茶色がかったミディアムヘアーに、長い睫毛に縁取られた二重の瞳が印象的な、可愛らしい小学6年生の女の子である。


先ほどの長ったらしい前ぶりでもうお気付きの方もいるだろう。
そう‼︎彼女は、超人的な直感力、すなわち『超直感』を持っているのだ。

彼女の直感的中率は96%。100問あるテストを受ければ、その内96問は当たるのだ。
これは素晴らしい才能である。


だがしかし、普通そんな才能を持った子供が生まれれば、親は気味悪がって遠ざけるか、はたまた利用出来るだけ利用するかのどちらか一つなのだろうが、幸運なことに彼女の両親はそんなこと一切せず、彼女を心の底から慈しんで育てた。

彼女が高額当選させた宝くじは全て彼女の口座に貯金しているし、彼女が『大きくて広い庭がある家に住みたい。私のお金使って良いから引っ越して』と言えば、彼女のお金は使わず40年ローンを組んでまで、都内に豪華な一戸建てを購入した。

簡単な話、両親は彼女を溺愛とまでは言わないが、かなり可愛がって育てたのだ。

そしてそんな両親は、特別な力を持って生まれた娘のことが心配で心配で、『あまり人前でその力を使ったり、話したりしてはいけないよ。悪い人に連れ去られてしまうかもしれないからね』と強く言い聞かせた。

この教えを守り、彼女は今まで家族以外の誰にも自分の力のことを話したことはない。


ただひとり、隣家に住む幼馴染の少年を除いて。


この幼馴染の少年。名前を河口(かわぐち) (りゅう)と言う。艶やかな黒髪と深緑の眼鏡がシンボルマークの、将来有望そうな少年である。(この場合の有望とは、『将来異性に人気の容姿となるだろう』という意味と、『将来良い職業につきそうだ』という二つの意味を持つ)

この少年。一見して頭の良さそうな感じだが、ただ頭が良いだけではない。

一度見聞きしたものを、完璧に記憶することが出来るのだ。

その証拠に、外国語教育のDVDをたった一度聞いただけで丸暗記して見せたり、本職の人間ですら数種類の辞書片手にしか読めない難解な英文をスラスラ読み、挙句一字一句違えず完璧に日本語訳してみたりと、様々な武勇伝を残している。
今でさえたったの12歳だというのに、それらを成し遂げたのが数年前だというのだから、末恐ろしい。

そして、彼の両親もまた彼の才能をそんな風に感じ、彼を自分たちから遠ざけたのだ。(恐らくこれが普通の親の反応だろう。むしろ満花の両親が特殊すぎるのだ)


彼女には理解し愛してくれる家族がいたが、彼にはそんな存在がいなかった。
これが二人の1番の違いである。


愛され育った子供とそうでない子供。普通に考えればどうやっても気が合わなそうだが、これがどうして、二人はとても仲が良いのだ。

それこそ、熟練夫婦のようにお互いのことを良く知り理解しているように思える。


もし皆さんが満花と流と同じ町に暮らしていたとしたら、恐らく当人たちの口から直接聞かずとも、この二人が自分たちとは違う特別な何かなのだと、気付いた事だろう。

この町の人達も、二人の特異性にはとっくの昔に気付いていた。
が、特にそれを言いふらしたりはしない。

満花は町の皆が世話になっている医者の可愛い一人娘であるし、流は無口で無愛想だが、困ったことがあれば何も言わず手を貸してくれる優しい少年だ。
そして何より、二人は子供なのだから、助けてやるのは当たり前のことだとさえ思われている。


そして、満花を『導花(みちか)』流を『(りゅう)』と呼び、守るべき『暗黙の了解』としている。


超直感を持つが故に、いつも物足りなさを感じていた少女と、天才過ぎたが為に、両親の愛情を知らずに育った少年。

二人は知らず知らずの内にお互いを心の支えとし、手を取り合って生きている。

これは、そんな二人のお話し。

事件の前に〜普段の日常〜

ジリジリジリジリジリ‼︎

「朝か……」

聞き慣れた目覚まし時計を叩いて止める。
いつもそこそこ強い力で叩くものだから、彼の目覚まし時計の寿命は短い。

そんなことをつらつら考え、寝ぼけ眼を擦りながら寝台を降り床に足をつけふらふらと歩き出す。
が、数歩も行かないうちに何かにつまづいて前のめりに転けた。
急いで体勢を立て直そうとするも、寝起きでうまくコントロールの効かない身体は、そのまま重力に従って床に倒れる。

だが来るはずの衝撃はやって来ない。その代わり、敷いた覚えの無い布団の上に落ちた。

暖かい朝日と柔らかい布団。あまりの心地よさに、思わず二度寝してしまいそうになる。
だが今ここで二度寝してしまえば、遅刻は免れない。

彼は気怠げに目を開け身体を起こした。
眠気覚ましに頭を大きく振り、そこに眠る人物を見て、やっと頭から霧が晴れる。

「…チカ起きろ。遅刻する」
「あと五分…」
「いいから起きろ」
「はいはい」

そう言って、彼こと流がチカと呼ぶ少女、満花は身体を起こし、流にニッコリ微笑みかけた。

「おはよ、リュウ」
「おはよう、チカ」


つい二週間前のこと。
満花に双子の弟妹が生まれた。
母子ともに健康だったため、満花の母と弟妹は一週間で退院し、家に帰って来た。

そこまでは別に良くも悪くもなんとも無かった。

幼い頃から自分と幼馴染の特異な体質のせいで散々人に裏切られ続けてきた満花にとって、信頼できる人が増えるというのはそこそこ嬉しいことではあるけれど、気にするほどのことじゃ無かった。

だが、その双子が帰って来たことによって幾つかの問題が生じたのだ。

問題その一
双子の世話が大変過ぎて家の中が滅茶苦茶

問題その二
両親が双子の面倒を見ることに必死過ぎて満花のことまで手が回せなくなった(主に生活面で)

問題その三
双子の夜泣きが凄すぎて眠れない。(これが現在の状況を引き起こしている原因)


簡単な話、双子のせいで満足に夜も眠れないから助けてくれと満花が流に泣きついたのだ(比喩でも何でもなく物理的に)。
なんだかんだ言って満花に弱い流は、この哀れな幼馴染を受け入れた。

こうして今の状況が出来上がったというわけだ。

普通、小学生とはいえ未成年の異性が保護者もなくたった二人で、一つ屋根の下生活するなんて許される事ではない。
が、もとよりこの家には流以外誰も暮らしていないし、満花の両親も今はそれどころでは無いため、誰も注意をする大人はいない(いたところで二人は相手にしないだろう)。

「リュウ、トースト焼いて」
「ん」


満花がスクランブルエッグとベーコンを焼いている間に、流がトーストを焼く。満花が焼きあがったスクランブルエッグとベーコンを皿に盛り付けトーストにマーガリンを塗っている間に、流が作ったコーヒー牛乳をあらかじめ用意してある小分けのパックヨーグルトと一緒に机の上に並べる。

「「いただきます」」

二人で手を合わせ同じタイミングで食べ始め、会話は無いが心地よい静けさの中、たまに目が合えば微笑み合いながら黙々とご飯を食べ進める。

その様子を端から見る者があったなら、必ずこう思ったことだろう。

『お前ら新婚夫婦か‼︎』と。

これが彼らの日常。

結果論

私の至らなさで『面白く無い』『分かり辛い』などなど感じられる点も多々あった事かと思いますが、これからもどうぞよろしくお願いします。

結果論

駅のホームに人を突き落とす『連続突落し魔』。老人ばかり誘拐する『老人愛好誘拐犯』。何故か野良猫野良犬野良うさぎが増え続ける町。そんな謎に挑むのは、『超直感少女』田仲 満花と『天才少年』河口 流のドタバタ小6コンビ⁉︎

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更新日
登録日
2016-05-16

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  1. 超直感少女と天才少年
  2. 事件の前に〜普段の日常〜