先輩と私と彼と

私は恋をしました。
「私事ではありますが」
そして
「この度結婚することになりました。」
めでたいこともあり
「それに伴い、本日で退職させていただきます。」
今日が最後です。
「皆さんには大変お世話になりました。」
さようなら、です。
「ありがとうございました。」

*

「いやーさみしくなるねえ」
「結婚式、楽しみにしてるからね」
「うん、準備がんばるね」
「また、連絡しろよ!旦那の愚痴も聞いてやるからなっ」
「…はい。また連絡します。」

「では、失礼します。」
「忘れ物はない?あったら結構恥ずかしい目に合うよ~」
「はい、たぶん大丈夫です。」
「じゃあ気を付けて帰ってね。お疲れさまー!」

私は恋をしました。
「へえ、お前の彼氏は同い年なのか。」
相手は年上です。
「不満は面と向かって言ってやれ!そのほうがお前のためにもなるんじゃないか?」
そして鈍感です。
「付き合い長いといろいろあるんだなあ。まあ、がんばれよ」
優しくて、たくさん話を聞いてくれました。
「お前の彼氏はきっと幸せだろうと思うよ」
笑顔がすごく素敵でした。
「なんでって、そんだけ自分のことを考えてくれてる人がそばにいるんだからな」
これはきっと恋ではないと
「そりゃそうだろう。俺もそういう人、見つけないとな。」
そう思っていたのです。
「そうか、結婚決まったのか!」
きっと片想いなのです。
「おめでとう!じゃあ今日はお祝いだな!俺が奢ってやるよ!」
大好きでした。
「いやー嬉しいもんだな、後輩の結婚報告とは」
本当に大好きでした。
「俺より先に結婚しやがって~幸せになれよ!」
私は、今日
「今度俺の結婚報告のときはお前が奢るんだぞ!」
恋をここに置いていきます。
「約束な!」
私は、今日から彼氏のことが大好きな彼女です。
『連絡先を削除しますか?』
先輩への気持ちを、会社に置いていきます。
『はい』
今までありがとうございました。
『削除しました。』
さようなら。

先輩と私と彼と

ちょっと切ない感じに…
先輩、こんなに男っぽいイメージで書き始めたわけではなかったのですが…
先輩、とても男らしい方になってしまいましたね。

先輩と私と彼と

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-05-13

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