妄想シチュ『流れ星にかける願い』
「あ、また流れた」
今夜はなんとか流星群がやってくるということで、彼と二人で夜空を眺めている。
ずっと上を向いているから、首が痛くなったり。
「でもすぐに消えちゃうから、願い事を三回言うとか無理だよね」
「そうでもしないと叶え放題じゃん。簡単に願いは叶わないってことだろ」
それはそうだけど、私は早口言葉とか苦手だからもう絶対に不可能だ。
まあ、私の願い事はほぼ叶っているんだけどね。
「ところでお前の願い事って何なんだ?」
「え、えー? 願い事は人に言うものではないじゃん」
「へえ、人には言えないようなことなのか~」
「イジワル。じゃあそっちから先に言ってよ。そしたら私も教えてあげる」
「俺は、世界平和だな」
「な、な、なにそれー!? ちゃんと真面目に答えてよ」
私は……私は、ずっと一緒に過ごしたいって答えようと思ってたのに!
「真面目だよ。だってね……」
そこで彼は、空に向けていた顔をこちらに向けてから言葉を紡いだ。
「俺らの子供達は平和な世界で暮らしてほしいじゃん」
子供……私達の子供。
私は、一拍遅れてその言葉の意味を理解した。
「あ、あ、あの、それって……」
「そんなの当然だろ。俺はお前と一生を共にしたいんだから。子供だって欲しいさ」
「あの、えっと……うん」
「まだ学生だからえらそうなことは言えないけどな。でも、卒業して就職して、ちゃんとした社会人になったら、お前と――」
きっと私の顔は耳まで真っ赤になっていただろう。
恥ずかしくて彼を見ることが出来なかったけど、言葉はちゃんと聞こえてた。
これってプロポーズだよね?
――なんてね。
妄想シチュ『流れ星にかける願い』