café

初投稿です。よろしく。

 カフェでひとり、スピーカーから流れてくる音楽を聴きながら、アイスコーヒーをのんでいる。結局今日も学校をサボってしまった。うちの大学は五日休むと単位を与えてもらえない。まだ五月の上旬だというのに、もう五日に迫っている。
「あー、これから夏休みまで一日も休めないなぁ。」
 彼はそんなことを思いながらストローに口をつけた。

ズズズズズズー。

 もうほとんど氷だけになったグラスからコーヒーの味を探すようにストローを吸った。
 空は曇天である。
 午前中の数時間は晴れたり、そうかと思えば雨がパラパラふりだしたり。朝からそんな具合だ。今日に限ったことではない。ここ最近こんな天気が続いている。
 空も気まぐれなものだ。気まぐれな空のせいで彼も気まぐれな生活になっているのかも知れない。きちんと時間に起きたとしても、学校に行くかどうかは分からない。親が休みであれば渋々自転車にまたがるが、仕事で居ないとなれば、着替えもせずラジオをきき始める。今朝はおかしなニュースが一つあった。
 火曜サスペンスに出てくるような断崖でプロポーズをされた女性が嬉しさのあまり飛び跳ねたところ、突風にあおられ海へ落ち、亡くなったそうだ。人間いつ死ぬか分からない。本当に分からない。コメンテーターも言っていたが、彼もそう思った。
 彼はいつ来るか分からない死に備えて好きな本を読んだり、映画を観たり、だれかに会ったりしたいと考えてはいるが、なかなかその思いは続かないものである。

 となりの席に背の高い外国人のカップルがやってきた。ふたりとも整った顔立ちで、座り方さえも、おしゃれである。
 ふたりはもうすぐ結婚式を挙げるのだろうか。純白のドレスやタキシードの映った雑誌をながめている。恥ずかしさと幸福感のまざった、何とも言えない見とれてしまう笑顔を浮かべている。しかし彼は、やはり、東洋人の方が好きだ、と感じた。
 彼女ほしいなぁと顔を正面に向けると、黒塗りの車が猛スピードでガラスを破りながらこちらに迫ってくるのがみえた。

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「彼」と同じシチュエーションで書きました。

  • 小説
  • 掌編
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-05-11

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