ダン・テ・ライオン 

これはパンドラの箱に大切に大切に隠された、神の愛したお話である。

私は一輪の蒲公英だった。

爽やかな風とからっとした日照りが、私の体を駆け抜けたとき、私は瞬間にして蒲公英になってしまった。
不覚にも、心地好いと感じてしまったからか、蛇に食べられるよりはマシなのだけれど。
アダムとイヴは大罪を犯してしまった。あの赤い実を食べてしまった。
だけれど私も、この状況を心地好いと感じてしまった。だから私は大罪人。
このまま枯れて死に行く身となってしまったけれど、『人から蒲公英になってまた人に戻る』なんて話は聞いたことも見たことも無いから最早どうしようとも思わなかった。
只、私には一つ心残りがあった。女として生まれたこの身。一度くらい愛した男性だって居たの。私が大罪を犯したために、彼にまで迷惑をかけるわけにはいかないと、大罪人になる前に別れてしまった。
『自分の気持ちに嘘をついて。』
嗚呼、ごめんなさい。本当にごめんなさいね、だから彼には私と居たときより幸せになってもらわなきゃ。
昔聞いた恋物語で、庭越しから始まる悲しい話を読んだことがある。
あのような話にはならなずに食い止めたけれど、やはり私の心は穴が空いているような感覚がする。
何回謝っても気が済まない。何回貴方を想っても触れられない。
だって私は蒲公英だもの。
只日を浴びて咲く蒲公英なのだもの。
私が罪を犯さなければ、あの時に手を染めていなければ。様々な後悔が頭、、否
花弁を通りすぎて行く。
かなわぬ恋とはこのように苦しいものだったのね。
あれから何日咲き続けたろうか。とうとう『その日』が来たようだ。
「sorry、、Liter.It was good could love you.」【貴方を愛せて良かったわ】



神様、神様どうかお願い。来世は彼の隣に咲かせて。

ダン・テ・ライオン 

お久しぶりです。たんと良いお話が思いつかなかったので、たまには恋物語を書いてみようかと。

ダン・テ・ライオン 

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-05-11

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