賀茂の葉陰に/出雲の阿国に捧げる短歌
賀茂河原萌ゆる若葉の息吹受け
阿国よ踊れ血を通わせて
舞い踊る時の風受けなあ阿国
その眼の先に何を見しかや
遥々と浮世の川を流れきて
加茂の河原につきて身を舞う
この世をば浮世とはよく云うものよ
この身も踊りも賀茂の泡沫
色恋の落ち行く先はなあ山三
加茂の流れに浮くこの櫻花
この時の阿国は知らじ身は果つるとも
永遠にその名と芸が生きるを
(京都賀茂川べりの阿国記念像の前にて/2016年5月)
阿国月夜
花の都のほろ酔い酒に
扇を開き舞いぬれば
浮世の春の短かさよ
浮く花びらの行く末も
おくる鐘の音うとましや
主と今宵の夢枕
一夜ちぎらん朧の月よ
露と消え行くこの身なれや
色恋の落ち行く先は何処へやら
流れ任せのあの桜花
この世をば浮世とはよく言うものよ
花もこの身も賀茂の泡沫
賀茂の葉陰に/出雲の阿国に捧げる短歌