エイプリルフールの嘘

今日はエイプリルフールだ。特にすることもなかった僕らは、

いつものように僕の部屋に集まると適当にビールを飲み始めた。

今日はエイプリルフールだったので、退屈な僕らはひとつのゲームを思い付いた。嘘をつきながら喋る。

そしてそれを皆で聞いて酒の肴にする。

くだらないゲームだ。

だけど、そのくだらなさが良かった。

トップバッターは、一億円を拾ったという見え透いた嘘だった。

そんなこんなで進んでいき、いよいよ最後になった。

「僕はそんなに嘘をつけないから作り話をするよ。」

コイツが話したのは、こんな話だった。

「僕がある日寝ていると、変な夢を見たんだ。黒い車が遊びに来ていた姪を引いてしまい、死んでしまうものだった。

次の日も夢を見た。昨日の続きのようで、「俺の車に傷をつけた」とキレられて、追いかけられるものだった。

その次の日も夢を見た。トンネルの中で追いかけられ、必死に逃げ惑うものだった。

僕は怖くなった。3日連続で同じ夢を見るなんて今までなかったからだ。

その日もまた夢を見た。捕まってしまい、父が殺されるものだった。

その次の日は、母が死に、その次の日は弟が死ぬものだった。

そして、五日目には僕の大切な人がみんな殺されたのだった。

そしてもう夢を見なくなったある日、姪が引かれたのだ。

それからは夢のとおりだった。父が死に、母が死に、弟が死に。

そして・・・今日。僕のいる前で僕の大事な人が殺される日だ。」

「おい・・・こえぇじゃねーかっ!やめろよー」

「あははっ!怖がりーww」

「でもやっぱりお前も嘘ついてみろよ!つまんねーから!」

「・・・嘘ならもうついたよ」

「『作り話をするよ。』」

エイプリルフールの嘘

エイプリルフールの嘘

  • 小説
  • 掌編
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-05-26

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