半透明な壁
その映像は走馬灯のように
ただただ胸が痛くなって弾けた。初めての感覚だった。何が悪いとかじゃなくて、何が弾けたのかも分からないその感覚に僕は恐怖した。
部屋を出て冷蔵庫の前に立つと、幼い記憶が蘇る。忘れもしない7歳の夜。父さんが母さんを殴る記憶。
走馬灯みたいだった。一瞬でも何時間でもない時間が僕の中で流れて、すぐにその映像は脳みその奥へと戻した。
目を見開いて肩で呼吸を2回した。でもすぐに冷静になる。
しかし、時すでに遅く。
目の前には半透明な壁が一枚。
しばらく消えないその一枚の向こうに君はいた。
半透明な壁