注文の多いメイド喫茶
二人の心優しい学生(にーとじゃないよ)が山奥でメイド喫茶を発見し、もちろん楽しく御入店するのだが、おやおや中々可愛いメイドさんが出てこない、それに加えて注文の多い多い事、二人はメイドに会えるのか?どうなるの…
注文の多いメイド喫茶
注文の多いメイド喫茶
「ポァアアアア!何と!こんな山奥に猫耳専門の喫茶店があぁああるではないですがあ!」
「きましたぞ!たぬ氏、たぬ氏!これは入るしか、入店するしかないですぞぉ!」
山頂なのか、それとも森の奥なのか分からない生い茂った山奥に、それはそれは、おデブでアブラギッシュな二人のオタク(にーとやない、学生ですぞ)が息を荒し、額と頬と贅肉、毛穴という毛穴から背脂の汗をボタボタと垂らして新鮮なH2Oをコホーコホーと何処かの暗黒面の騎士のように息を吸っている。
たぬ氏と呼ばれた21才のおデブは曇った縁の大きいメガネをティッシュでギシギシと拭いた。
「かぶと丸殿はふぁ、あ、なか、なか疲れてないんでござるな」
たぬ氏はぜーぜーと吐いているのか吸っているのかわからない。
少し口のまわりに白い油が飛んだ「んごふぅ!」
かぶと丸と呼ばれた青年は21才、趣味は空手、をやる美少女げーむの女の子を育成するカードゲームにはまっている。ちなみにスーパーレアガチャでほなほなたんが出てくるまで、「僕はしにましぇん」と言って、ん万円を使ってぐるぐる回した事はママに秘密だぞ。
「僕は母から支給してして貰った、この靴、主にコーナーに強いを履いているので余裕でござ…んんんんごふえぇ!!」
「かぶと丸殿おおおおお!!死んでは、死んではいけませんぞおお!」
「たぬ氏…たぬ氏、みえる、見えるよ、ほなほなたんが250ccの単車に乗って僕を迎えに来てるのが…」
たぬ氏はそこでピタリと止まり、かぶと丸の暑い脂肪に正拳突きをかました。
ダゴォオオオオオオオンンン!!
「なほほほほほおお」
かぶと丸はピクピクと痛々しそうに自らのお腹を両手で押さえ、口の中に少し葉っぱが入った。
「かぶと丸殿、拙者、あきれましたぞ」
「なんだ…と」
たぬ氏はスッと姿勢を良くして話す。「ブッホッ!」少しガスがお尻から漏れた。
「なほなほたんを置いて先に死ぬ、漢として、それで死ねるのか?」
「たぬ氏…」
たぬ氏はジェントルメン、もしくはイッツクール!を連想させる様なダッシュを決めるポーズをとった。
「もしや、たぬ氏、たぬ氏、たぬ氏」
その瞬間たぬ氏は、スタートをキメて目の前の奥の奥にあるメイド喫茶に全身全霊をかけて太ももを円周率を殴って飛ばしたように走りかけていた。
「入店第一号ぅぉおおおおお、貰ったなりいいぃ!!」
「おのれ!はかったな!たぬ氏いいい」
こうして、ようやくおデブの二人はメイド喫茶へと入店をしたのである。
喫茶店はオシャレである。屋根はオレンジ色のスペイン瓦に庇には、白と緑の塗装が施されている。外装は白で窓の下にある腰壁には花壇がありハイビスカスの花が咲いている。
二人のおデブは緑色の玄関に立ち、アルミのサッシに入っている、はめ殺しのガラスに女の子っぽい文字で書かれているポスターに目が止まった。
(どなたでも、入ってくださいにゃ~)
この文章を読んで二人のオタクはごふごふと喜んだ。
「世界は、世界は…イッツ!ビューティフルですぞ!まさか、この様な展開が、山奥大好き!」
たぬ氏は感激して鼻水を「びゅるるる」と吸った。
「以下同文ですぞ、さてさて入って美味しいオムレツを食べまッす」
二人はドアを力強く押し、玄関をドスドスとあがった。
すると、そこには廊下があり少し進むとガラス扉が目の前に出てきた。
「おやおや何か書いてますぞー」
ポスターがガラスに貼られており、そこには(いっぱい、いっぱい太った人は大・大・大歓迎だよー)との文字が書かれていた。
「たぬ氏、これは僕たちの事を言ってますな」
「こぽんんんほほ、何を言っておりますか、拙者は肥えておりませんぞ~」
二人は笑いながら奥へと進む。
「んほほおおお」
今度は水色の扉がタイルを輝かせながら現れた。
「また、ドアが出てきましたぞ」
二人はプリンのような手でドアノブを開けようとすると上の方にゴシック体の文字で書いてある。
(とうてんは、注文の多い料理店ですが、許してほしいにゃん)
「ふぅむ」
「許すしかないよね!」
そう言い放ちと、二人は重たいドアを押して開ける。
ギギィィーー
「おや、かぶと丸殿、これを見てください!もたもや美少女からのお言葉がひぁん」
(注文は、とーーっても多いですけど、がまん、がまん!)
「ふっ、紳士としてがまんは努めであります!そこはわかっていただきたい、所存でありまっすんんゆ」
「たぬ氏、これは、銀河うまいオムレツが食べれますぞ!!かぶと丸ハートってケチャッぷでカキコカキコー」
二人はご機嫌でスタスタとピータイルの床をウォークしていく。
何やらまた、扉がでてきた。
しかし今度は洗面所がある。
鏡の上を見ると(からだの油を落とさないとここは、通さないんだからね!)
と一筆で書いてあった。
「美少女に会う前に洗顔させるとは、何と気のきいた喫茶店…愛とトキメキを感じる」
「たぬ氏はロマンチストで紳士とは、やりますなぁ~」
二人はブラシで顔とからだ、及び、およびまでをゴシゴシと洗い始めた。
「んんんんふぁああ!五ヶ月ぶりのお風呂、きんんもちいい」
「たぬ氏、もはや洗顔の域を越えてますー、闘い過ぎですぞ!」
二人はほくほくとした肉のからだで扉を開けた。
扉を開けた先には、今にも滅んでしまいそうな木の机がある。
その上に一枚の紙が申し訳なさそうにあった。
(この猫ミミをつけてください、ご協力ありがとうございまする!)
「まする!」
「敬礼!」
かぶと丸は黒い猫耳に手を出して自分のヘッド(頭)に装着した。
「にゃ~ん」
「おおんふぅ!似合ってますぞ、ならこちらは、白の猫耳に参る!」
たぬ氏は両手で深く被った。
「にゃ、にゃんん、のゃなゃにゃ~んん」
「可愛いですぞ!たぬ氏!新しい時代の幕開け、新世界編の突入ですぞー、にゃん!」
二人は猫立ちすなわち、空手家のなほなほたんが使う技つま先立ちで机の向こうにある赤の扉を開けた。
ギーー
マネキン、マネキンがある。
マネキンには白と黒のメイド服が着せられている。
もちろん二つだ。
そして、マネキンのデコにポスターが書いてある。
(ほんとうに、メイドが好きならまず貴方がなってみなさいよ!!)
「強気!強気できたよー、拙者、そこの部分も含めて好き!」
「まさかのたぬ氏とメイドのコラボが、此処で熱い展開、読者の誰も望んでない?どってんかいそく?いわゆる絶対零度の絶対領域?」
二人は優雅に服を脱ぎ捨てて、その服(メイド服)、ニーソックスを装備した。
「ちゅんんちゅくちちゆゅんん!!」
たぬ氏はくるくると回る。
「地球の時点が傾いた理由が、たった今わかった気がしますぞ」
「コポポポポオ!たぬ氏はもともと、頭の軸が23.4度傾いてますぞー」
スカートが腫れ上がり、バルーンがないバルーンサッカーの様だ、どうやら二人とも初のコスに心が綿雲の様になっていた。
と、ここで着替えた二人は黒い鉄の厚い扉をゆっくり開けた。
白いオシャレなキッチンと冷蔵庫、テーブルがそろっている部屋に突入した。
「ほぇ?」
「たぬ氏、見てください冷蔵庫に張り紙が!」
(命があるかぎり燃え尽くせ!さぁ準備は整った、ここにあるレシピを読み伝説の味を呼び覚ませ!)
「かぶと丸殿…」
「たぬ氏…」
あぁ…わかっているぜ、時は満ち足りた。
俺たちはこの瞬間を待っていたんだ…
トクゥン…
「うぉおおおおお、卵を割れ、お米はパラパラ、コショウを振れ!お前のケチャップは何色かぁあああ!!」
「赤、赤だよ、もう、僕は誰も失いたくないんだよおおおお」
そして、二人の友情によりオムレツは完成した。
「よっし、完成で、おっけーですな準備万端ですぞい」
かぶと丸は優しく微笑む。
「たぬ氏忘れていますぞ、最後にオムレツには…」
かぶと丸は自分とたぬ氏にケチャップで文字を書いた。
【カレー】
たぬ氏「うわ…」
「さぁて、かぶと丸食べますぞ」
「あ、はいもう、食べてますクチャクチャ」
「え?何罪?」
「あはは、まじうめぇーよこれ」
「なぁー」
「ははは」
「あはは」
「うますー」
「あはーは」
「でさ、でさ、あはは」
「はははは」
「「自分で作って食ってる!!」」
完
注文の多いメイド喫茶
宮沢賢治は大好きです本当に