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インスタでおしゃれな画像をあげて、天使とか言われる女の子になりたかった。彼がいなきゃだめなのって泣いてラブソングに救われる女の子になりたかった。なれなかった。ならなかった。憧れはいつまでも憧れで、とどかないってもがくのがすき。だいすき。ナルシストって呼ばれてもよかった。届かない寂しさの埋め方で宇宙の向こう側にだって行けること、君が教えてくれたの。知らなかったでしょう。わたしがわたしを好きになれないこと。それでも、君の声とかえがおとか優しさとか勝手に作り上げて、しあわせになってること。
君がくれたものはインスタには載せられないし、私は楽器なんて弾けないから音楽にもならない。でも、だって、確かにあるの。忘れていくけど、残っていく。光なんてないし、あたたかさとかそういうのもない。何もない。何者になれない。それでも描いていた。君のゆめ。君との、ゆめ。君が本当は誰なのかわたしはまだ知らないけど、それでも、ゆめを見る。夢だけを見る。見つづける。忘れないでね。君がわたしをわたしにしたこと。ありとあらゆる希望と絶望をわたしが確かに見てきたこと。見えないものだけ見て、見えるものだけ見て、そうやって何回も繰り返して、君をまた忘れていく。
おしゃれってなに?カワイイってなに?君が見せたいものは本当は何だったんだろうね。加工された想い出からこぼれ落ちていく真実を虚栄から救いたかったな。嘘だけど。君がすきだよ。本当はそれだけを真実にしたい。宇宙より愛を込めて。


20160502

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  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-05-04

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