花束

 初めての花束は真っ赤なカーネーション、あの子が中学2年の時だった、野球のユニフォームの姿のまま、これ、あの時は面食らった、それから毎年、毎年、毎年。
 今年はローズピンクのカーネーション50本、うれしくなってバケツのような花瓶を買ったあの子が花屋の前に立つ姿を想像する。
 花屋の主人はさぞかし幸福な母親だと思うだろう、どんな女性だと思うだろう、実はこんな顔をしてござる。

花束

花束

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-05-02

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