チェンジャーズ
愛と平和と…
「俺の人生って何だろ…たばこ吸って、ダチと騒
いで、カブ乗り回す…もう来年から高校生何だぜ」
祐一は中学からの悪仲間の洋子に昔の様に笑顔で言
う。「なあ、洋子…洋子…返事してくれよなあ…洋
子!!」もう洋子は昔の洋子ではない。だって洋子
は…
「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ゾンビになっちまったから…
校舎にチャイムが鳴り響き、生徒達はそれぞれの
教室に学生としての、義務を果たすため戻ってい
く。だが、こいつらは…「んだと!この糞教師!!
何が出来損ないだ!!ぶっ殺すぞ!!」そう口を揃
え、威勢の良い声が二階に響く。その教師もその威
圧に押され、「わ…わ…分かった…すまなかった…
最初から君たちにそのよぉうが!…」最後まで言わ
せない、これがこいつらのやり方。「私らにごちゃ
ごちゃぬかすんじゃないよ!!この糞ハゲ!!」そ
う言い捨てると二人はは屋上へとたばこを吸いに行
く。
屋上の入口の段差で慣れた手つきでたばこに火を
つける。「なあ洋子、この一野崎中もよ、裏では名
門校への進学率は結構良くて、地元からの信頼もあ
る名門だっていうのに俺らみたいな不良がいるなん
て思いもしないよな?」と、祐一は笑みを浮かべ、
たばこを蒸しながら洋子に問いかける。洋子は立ち
上がり祐一を見ながら、「何言ってんのよ、一野崎
中の祐一って言ったら、この辺じゃ悪で有名よ。金
髪で短ランでボンタン履いた奴なんかこの辺じゃ、
あんた以外いないは。あんたもこの空みたいに、心
の広い人間だったらなぁ…」洋子は、空高く両手を
広げ、空の広さを語る。祐一は、最後の一口を吸
い、「何が心の広いだ、お前みたいな時代遅れのス
ケバンスタイルに茶髪のロン毛みたいな野郎が心だ
のなんだのって語るな。」祐一は、洋子に笑みを浮
かべ中指を立てながら言う。「な、何が時代おくれ
よ!」と、顔を赤くして照れ顔で言う。
そうこうしてると、もう四限目が終わるチャイム
が鳴った。二人は昼飯にするかと、コンビニ行こう
とすると、洋子の携帯から「ぷるるる…ぷるる
る…」と着信音が鳴った。携帯を開くと、見たこと
もない電話番号だった。恐る恐るでてみると、「は
い、もしも…うっ!ぁぁぁぁぁぁぁ!」電話に出た
瞬間、洋子は急に叫び出した。頭を抱え込み、地面
に伏せた。祐一はすぐに洋子のもとに駆け寄り、
「洋子!大丈夫か!洋子!」すると、洋子は安静に
なり地面に横たわった。祐一は安心した顔で、「ふ
ぅー、良かった。洋子なんだよ驚かすなよ!お前、
こんなに演技力あったんだな!アハハ」だが、祐一
が洋子の体を揺さぶった時、洋子の体は冷たくなっ
ていた。「ん?洋子?おーい、洋子。もう演技はい
いから起き!?」いきなり洋子が、立ち上がった。
そして、祐一を不気味な顔で見つめる。「お、お
い…洋子?洋子だよな?どうしちまったんだよその
顔?なあ、嘘だと言ってくれよ!洋子!!!」洋子
の顔はまるで…
ゾンビみたいだった…
赤い涙
「洋子…何でゾンビなんかに…」祐一は、変わり
果てた洋子を見た。涙腺は一瞬のうちに崩壊した。
そんな事をしているうちに、洋子は唸り声を上げな
がら、祐一に近寄ってくる。「嫌だ…死にたくない
…死にたくない…近寄るなぁぁぁ!!!」祐一が、
大声を上げると洋子は、「うがぁぁぁぁぁぁぁ!!
!」と、祐一に向かって襲い掛かってきた。
祐一は、咄嗟に屋上の入口を出て、2階の生徒棟に
逃げようとした。だが、祐一の足は自然と止まっ
た。「ハァハァ…待てよ…これで生徒棟に降りれば
、洋子によって感染が広がりゾンビが増殖しちまう
!こうなったら、俺が屋上の入口行って洋子を留め
ないとな」と、ゲームでの知識を生かし、屋上入口
へ急いで戻り、入口を施錠し、自らの身でドアを抑
えた。「これだけ締めれば入ってくるはずない!」
祐一は、安心した瞬間…
ダダダダダダダダダダダダ!!!!
「……こちら、フォックス。ただ今、一野崎中屋上
にてガラクタを1体処理した。」
激しい銃声と共に、無線で話す低い男の声が入口に
近づいてくる。祐一は、恐る恐る入口の鍵を開け、
扉を開くと「誰だ!?」と、特殊部隊の隊員の様な
筋肉質な男が銃を構えていた。「ちょちょっと待て
よ!俺は、ゾンビじゃねぇ!!人間だ!」と、祐一
は、男に訴える。すると、男は銃を下ろし「お前、
あのガラクタの知り合いか?」と祐一を睨みつけ、
ある方向を指さした。その方向には、洋子の無惨な
亡骸があった。祐一の頭は真っ白になった。「あ…
うっ…洋子…洋子」祐一は、ゆっくりと洋子に歩み
寄る。「洋子…起きろよ…起きろよ…なぁ…ごめん
な洋子…近寄るなとか言っちまって…ごめんな…
本当に俺バカだわ…もう1回さあ、一緒に遊ぼうや
…単車乗り回したり…だからさあ…起きてくれよ…
洋子…起きてくれよ!!!!!!」祐一は、洋子を
抱き寄せ叫んだ。すると、後ろから男が歩み寄り、
祐一の肩をそっとたたき「もう…手遅れだよ…その
子は…あんなに打たれてた!?」男は、言葉を切ら
せ洋子の亡骸に近寄り、洋子の顔を見て驚いた顔を
している。「おい!なんだよおっさん!!洋子にそ
のきたねぇ面近づけてんじゃねぇぞ!!お前みたい
な人殺しがよ!!!ぶっ殺すぞ!!」祐一は、男に
殴り掛かろうとしたが、男は祐一の殴りかかった手
を掴み祐一の方へと顔を向け、
「こ…これは…赤い涙…!!君!もしかすると、洋
子ちゃん生き返るかもしれないよ!!」
兆し
「んなこと嘘だろ!!そうやって、嘘ついて洋子
をてめぇらの実験に使う気だろ?ふざけんな!!」
祐一の心は、洋子を思う気持ちで溢れていた。そし
て、男は立ち上がり祐一を平手打ちした。男は鬼の
様な形相で「じゃあお前は、洋子ちゃんがこうなっ
た時、彼女を助けようとした心はあったのか?洋子
ちゃんのために尽くそうとしたか?お前は今、現実
逃避しているだけだ!!我々の言う通りにしてくれ
れば絶対に洋子ちゃんを救う!!もし、我々が裏切
るような事をしたならば、これを使って俺を殺
れ!!!!」と、男を胸元からハンドガンを取り出
し、祐一にハンドガンを差し出した。祐一は、男を
睨みつけ、「裏切ったら速攻殺るからな!」と、ハ
ンドガンを受け取った。ハンドガンはとても重かっ
た。今の祐一の心のように……
二人は、屋上から街全体を見渡した。「凄いだ
ろ。今の世の中は、あるテロによってこのようにな
っているんだ。」男は、街を指さし眉間にシワを寄
せ言った。目の前に広がるのは火の海だった。目の
前の光景は本物かとかと、祐一は頬を抓った。本物
だった。「俺の地元が…こんなことに…なぁおっさ
ん…どうしてこうなっちまったんだ?」すると、男
は、懐から端末を取り出し起動させた。
「ピピッ…システム利用権ヲ取得中…」
「指紋ヲ認証サセテクダサイ」
男はゆっくりと右手の人差し指を端末に添えた。
「ピピッ…認証シマシタヨウコソ
シラキ ユウマ サマ」
「お、自己紹介が遅くなったな俺の名前は白木優
馬、コードネームはフォックスだ。よろしく」優馬
は、祐一の前に右手を出し、握手を求めた。「服部
祐一…よろしく。」雑に手を出し、握手を交わし
た。そして男は、祐一に端末の画面を見せた。そこ
には、古い新聞記事が表示されていた。
チェンジャーズ