楽校(短編集)
貴方はこの「部屋」に何を感じてましたか?
響室
ここは色んなものが響く
先生のいつもの怒り声
クラスメイト達の狂った笑い声
誰かのか細い声でさえ
ここは静かに拾う
それが時には憎らしく感じた
包み込まれるようで丸裸のまま
晒されているような
そんな気分にさえされた
「また…。」
少女は呟いた
でもすぐに口を閉じた
ここで音を発する事でさえ
言葉に表せない嫌悪感が溢れる
どれだけつきつけられようが
どれだけ苛まれようが
光が射し込む兆しさえなく
ただただ上を向いて口を噤んだ
蝕隠室
そこは人生の師が集う場所
他の部屋よりもとっても快適
エアコンがついててコーヒーも何時でも飲める
そんな所でくつろいでいる師達は
私達にエアコンをあまり使わせない
経費がなんだと、我慢がなんだと
言葉を並べては隠して何も聞こうとしない
手遅れになってからでは遅いのに
暑さに苛まれ脳は蝕まれ
暗転するまで気づかないのだ
いい子にしてるあの子は暗い顔
悪い子してるあの子は明るい顔
1度は皆恨めしく思ってる
でもどうしてだろう
楽校を出る時は皆
師と本当の涙を流しあってる
不思議だなぁ
楽校(短編集)
その答えはきっと空虚なものなのでしょう