Girl friend
数週間前から少しずつ積み上げられていた段ボールの山が、数日をかけてついに紘斗の前から消えた。姿を現したフローリングの床に寂しさを覚えつつも部屋の中を動き回る影に視線をやる。段ボールの持ち主は小さな背中をこちらに向けながら最後まで荷造りされることなく残っていた日用品を旅行鞄に詰めていた。それを見て紘斗は朝から部屋から部屋へと飛び回り忙しなく動く彼女に近づく。
「それで全部?」
問いかけに沙羅はちらりと紘斗の顔を見ると手の動きを止めずに頷いた。
付き合って3年になる彼女は、明日俺には簡単に手が届かない国へ旅立つ。
Girl friend