リバースノート③

村崎瑠璃

もし人を生き返らせるノートを拾ったらあなたはどうしますか。

主人公A、生き返る

気づけば俺は白い部屋の中にいた。
長いことここで眠っていたらしい。
見覚えのない部屋に瞬きを繰り返してようやく自分は病院にいるのだと気づいた。
そして目を覚ますと何故かベッド横の椅子に座っているCの姿があった。
「C、何で、ここに」
俺はリバースノートを拾いそこにBの名前を書いた筈だった。
それと同時に俺の記憶は途絶えている。
起き上がろうとすると目の前のある物体がそれを遮った。
「これ、見覚えある?」
そう言って彼が差し出したのはリバースノートだった。
どうして彼がこれを持っているのか。
Cがページを捲るとなんとそこにはBと自分の名前が書かれていた。



Cに聞いた話によるとBはリバースノートに俺の名前を書きその日に心臓発作で死んだらしい。
俺は頭を抱えた。
そしてこの出来事で確信した。
リバースノートは本物だ。
名前を書いた人間を本当に生き返らせることができる。
そして名前を書いた本人は死んでしまう。
悪魔の様なノートだと思った。
俺は翌日退院し、何事もなかったかのように学校へ向かった。
しかしクラスの中はお通夜状態だった。
無理もない。立て続けに人が死んだのだから。
こんな奇妙な事実を知るのは俺とBとCだけだ。
「A、この後時間ある?」
教室に入ってすぐCに屋上に来るよう呼び出された。
ノートのことだ。咄嗟にそう思った俺は二つ返事で了承した。
屋上へ行くとリバースノートを持ったCがいた。
「これにBの名前を書いてくれないか?」
信じられない提案だった。
「それに書いたら、今度は俺が死ぬかもしれない」
「なんで?BがAの名前を書いたから、死んじゃったんだよ」
だったらAが書くのが筋じゃん。Cの目は本気だった。
彼は俺を犠牲にしてBを生き返らせるつもりらしい。
自分一人だけ生き残ってBと一緒に未来へ生きる。
俺は激しく怒りを覚えた。
「だったら自分で書けばいいだろう!」
「俺はBが死んだままでも構わない。お前は彼女が死んで困るんじゃないのか?」
Cの台詞に愕然とした。その通りだった。
とっくに自分の気持ちがばれそれをCは利用しようとしていたのだ。
折角再会出来た目の前の親友を殺してやりたくなった。
そして俺がとった行動はCからノートを奪い取ることだった。
「何処に行くんだ?おい」
そのまま階段を全力で駆け下りて俺が向かったのは真下に川が流れるこの村一番の古い吊り橋だった。
川の勢いは強く、流されたら大人でも立ち止まることが出来ない速さだ。
「待て!」
Cの声に橋の真ん中で立ち止まる。
俺の後を追いかけてきたらしい。
「それをどうするつもりだ?」
一歩一歩警戒しながら俺に近づくCに少しずつノートを持って後ずさりする。
大昔に造られた古い橋はぐらぐら揺れて今にも床下が抜け落ちそうだった。
「こんなもの、はじめからなければよかったんだ」
彼の危惧する通り、持っていたリバースノートを川へと投げようとした。
しかし手から中々離れない。
これがあればBの命が救えるかもしれない。
俺が死ねば彼女が。そう思うと躊躇してしまった。
しかし吊り橋は更にギシギシと音を立てて不安定に揺れ始めた。
支えていたワイヤーの一つがぶちっと音を立てて切れた。
その瞬間バランスを崩し上半身が手摺の外へと投げ出された。
落ちる。
そう思った瞬間、体がふわっと宙に浮いた。
「ああ、やれやれ。だから待てと言ったのに」
どういうわけか俺の体が浮いている。
そしてCの背中には白い羽が生えていた。

リバースノート③

リバースノート③

  • 小説
  • 掌編
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