世界のはじっこ
ある少年と女の子の物語です。
目の前には恐ろしく冷徹な目で無表情に笑うでもなく怒ることもなく見つめてくる男がいた。
「殺されたくなかったら奪ってきた物を全部出しな」
「さっきちゃんと全部出したでしょう」
男は缶詰や乾パンやらがはいったボロボロの布でできた袋を持っていた。物色し終えたのかこちらをずっと見つめている。その袋には避難所から媚を売りまくり、か弱い少女を演じ何とか集めた大切な食料が入っていた。
しかし、それはいきなりだった。
頭が揺れ頬に痛みが走った。最初は何が起こったのか分からず気が付いたら天井を向いて倒れていた。思いっきり殴られたのだ。
床は冷たく背中に感じる冷たさと頬の痛みだけが生きた心地を感じられ、それ以外のすべてが夢のように儚かった。
世界のはじっこ