夕飯の支度。

駅前には
今到着したばかりの父の車。
手を振ってここだよ。と
学校帰りの私を呼ぶ。

後部座席にはシチューの材料が置かれ
鼻歌を歌いながら父は家路を急ぐ。

ただいま。と開ける玄関の引き戸
私は手を洗い父の邪魔をしないように
ジャガイモと人参の皮をむく。

大鍋の前で鼻歌を響かせる父に
終わったよ。と一声かけた進学前の金曜日
町内を巡る車に揺られ
忘れていた事を一つ一つ思い返していた。

「お父さんのビーフシチューは、美味しかったねえ。」

綺麗に晴れた納骨の前日
大鍋を洗いながらつぶやく妹の横では
ジャガイモが一袋
綺麗にむかれて
鍋の中で遊びまわるのを待っている。

夕飯の支度。

夕飯の支度。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-04-22

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