本当の愛は脆く儚く冷たい

銀土です。



ちっとヤンデレ入る予定です笑

そう,
きっかけはほんの些細な事だった。

些細っていうかなんていうか…
あれが無ければ今には至らないと思う。


今更言っても遅いって分かってるが…


俺はどうしても、
悔やみきれずにはいられないんだ。




攘夷志士の活動がいきなり活発になり,
厳戒体勢を敷いていたそれはなんとか収拾をつかせた。山崎にはいつも以上に様々な所へ送り込ませ,総悟や近藤さんにも動いてもらった。

勿論俺も死ぬ思いで働いた。
まぁ過労死…なんつーのは身近な死因だってのを感じた瞬間でもあったな。

一通り書類の仕事を片付け,俺は一服した。
ふと、時計に目を向ければ時刻は深夜2時を指している。俺はゴソゴソと布団を敷けばだらんと横になった。

「疲れた……」

何日振りかの布団に暫く身を預けると,
いきなり気だるさが襲ってきた。
きっと色々溜まってるんだろうと仕方無さげに疼き出した自分のソレに手を這わせれば一気にまくし立て熱を放った。

「っん……」

色めいた声出せばササッとティッシュで拭き取る。しかしいつもならすぐ熱は冷める筈が,何故だか全く熱を引いていく様子は無く寧ろどんどん熱を帯び始めていく。

「は……くそっ、」

仕方なく2回3回達してみるが、身体がだるくなるだけで熱は引くことを知らなかった。
今まで無かった感覚に戸惑いつつ,俺は携帯を開くとある場所へ電話を掛けた。

『もしも~し、お電話有難うございますぅ。こちらデリヘル恋慕でございますぅ』

掛けた先はデリヘル。
生憎今日は屯所に人が少なく,バレるような事さえしなければいいだろうと高を括って電話を掛けた。

「…今からなんだが、大丈夫か」

すると俺の声を聞いた瞬間,
一瞬言葉を詰まらせたのが分かった。

『は~い大丈夫ですよぉ。ご指名の女の子とかいらっしゃいますかぁ?』

「いや、利用するのは初めてなんだ。適当に頼む」

『適当、ねぇ。……了解しましたぁ』

では暫くしたらそちらにお伺い致しますぅ、と告げられ電話は切れた。

何故だろう、何処か聞き覚えがあるような声だったのは気のせいだったのか。

女にしてはやけに掠れた声で,しかも場所や名前も聞かずに切れちまった。悪戯だったらふざけんな、と思っているうちに戸が開く音が遠巻きに聞こえた。さっと、俺は身構える。

黒い人影が部屋に近付いてくるのが分かれば自然に手は刀の柄に向かっていく。すると、リリリと携帯が着信音と共に震えだした。

部屋の外の気配に注意しながら、
それに出る。

「……もしもし」

『デリヘル恋慕から参りましたぁ』

その時、
人影が俺の部屋の前で止まった。
まるで俺がその部屋にいる事を知っているかのように。電話の声の主が外にいるのがすぐに分かった。

「まァさか御前ェから電話来るとは思わなかったわ」

「お……まえ、」

スッと開けられた襖の前に立っていたのは、女の格好をしているわけでもなく、いつも通り死んだ魚の目をしている元攘夷志士……いや,現万事屋社長?坂田銀時だった。妖しそうに笑みを浮かべ立っている。

「真選組の副長サンともあろうお方が,デリヘルたァ良い趣味をお持ちで」

皮肉めいた口調で俺を揶揄う坂田は部屋の残り香に鼻をひくつかせ、再びニヤリと笑った。

「一人で抜いてたけど,足りなくなってデリヘル呼んじゃった?」

俺は何故ここにコイツがいるのか分からないは、図星だがなんだか頷きたくないような質問されるは、いつもとはちょっと纏う雰囲気が違う万事屋に驚くはでぐちゃぐちゃになっていた。

ハッと気付いたら頃には万事屋の顔がすぐそこまで来ている。鼻先がお互いぶつかりそうだ。

「へぇ、まぁ最近忙しそうだったから真選組。抜く時間なくて,溜まり過ぎたってわけね」

攘夷志士の活動を取り締まっている真選組の活躍は、ニュースでも取り沙汰され俺の姿や近藤さんの姿が何回か写っていたのは知っていた。

「まぁ早いとこ楽になりたいでしょ?銀さん,助けてあげるから」

ふぅっと、耳に息を吹きかけられれば「ひゃっ」と小さく悲鳴あげ肩をビクリと跳ねさせた。おぞましいような自分の反応に悪寒が走る。

「可愛い声。もっと聞かせて…」

調子に乗った万事屋は俺の着流しから手を突っ込み胸元の飾りを弄ぼうとしていた。俺はハッとなり手を叩く。

「て、め…ちょっとは仕事選べよ」

聞かなくてもなんとなく察しは付いた。
大方依頼でも請け負ったのだろうが,
まさかこんな出張までやるとは…

…俺じゃなかったら,
こいつは別の奴を抱いて…

せめて電話番だけでも良いんじゃねぇか?
なんて考えてたら万事屋は俺の方を見てニヤニヤしていた。

「まぁな。…でも俺御前ェが客で良かったよ」

チュッとリップ音をたて俺の頬にキスをした。
不意打ちに俺は驚きと恥ずかしさで顔を真っ赤にし、固まってしまう。

「なななッ、…な」

「ふは、言葉になってねぇって。なぁ…始めて良いか?」

俺を布団へ戻すとゆっくり押し倒しそう言った。キュッと唇を噛み締め,俺は頷く。
それを確認すると万事屋は俺の着流しを優しく脱がしに掛かった。

思わず緊張で身を強ばらせてしまう。

それを和らげようと、
何度も何度も顔中に優しくキスを落としてくれた。

「っ……ん」

胸元の飾りにしゃぶりつく万事屋はまるで赤子のように見え、つい頭をさわさわと撫でてしまった。男なのにそんな所が気持ちイイなんて信じたくは無かったが,身体が疼きだしてしまった事には仕方がない。ゾクゾクするような感覚に生理的な涙が浮かぶ。

「うめぇ…。見て?さくらんぼみたい」

左をしゃぶられ、右を手で抓ったり捻ったり引っ張ったりされプクッと赤く熟れていた。横に顔を向け恥ずかしく目元を腕で隠せば,万事屋がそれを許さず腕を退かす。

「隠すなって…。御前ェの顔見たいから。な?」

とても優しい声音でそう言う万事屋にドキンと胸が跳ねた事は絶対言わねぇ…。

何故なのだろう…、



何故ここまで優しく俺を抱こうとしてる…?



いつも街であったら喧嘩ばかりで、

いくら依頼でも相手が俺とわかった時点で断ってもいい筈だろう。


ビクン、と無意識に身体が跳ね、
万事屋が一瞬驚いた顔をしたのが目に入った。



ーーーー俺はそうやって喧嘩をしていく中で、


ーーーー御前ェに惹かれていった。



ーーーー認めたくなかったけど、


ーーーー自分の気持ちを否定するのに疲れちまった。



ーーーーだから、認めた。



ーーーー俺はあいつが好きだ。



ーーーーでも絶対この気持ちを、


ーーーーこいつに伝えるつもりは絶対に無い。



ーーーーだから…、



ーーーー俺を期待させるような事をしないでほしい


「万事屋、まっ……て」

「……どうした」

手を下へ伸ばし立派に反応している俺のソレに触れようとしている万事屋を、俺は寸でで止めた。

「やっぱ…止めてくれ、」

「なんで…?俺が抱くの、嫌?」

切なげに、
悲しげにそう言う万事屋に俺は首を振った。
そうではない、と。

やっぱりだめだ、
こんな事で身体を繋げるなんて、だめだ。

身体だけの関係なんて
悲し過ぎる。

そんなの俺は……

求めてない、


「…土方、」

いつの間にか俯いてた俺は、名前を呼ばれハッとなり顔を上げた。目の前には切なげに、苦しげに、でもとても欲情してる紅い瞳が俺を捉えていた。

「俺が…限界かも、伝手」

そういうや否や、俺の息子に手をかけいきなり激しく擦り始めた。

「あぁあ…っ、ん…ふ…待てッ…て、」

「…火を着けた御前ェが悪い」

気付けよ馬鹿…と言った万事屋は俺を一気に絶頂にまくし立てた。俺は手に熱を放ってしまう。

「…ぁ、あ……あ」

余韻に浸りビクビク震えていると,
後ろの穴に万事屋が指を這わせてるのに気が付いた。うつ伏せになれ、と言われればその声音からつい従ってしまう。

「ひ…ぅ、あ…」

俺の液で濡れた指がツプリと中に入り、
うねっているのがよく分かる。
男に抱かれる事が、こんなにも抵抗が無い事につくづく自分に嫌気が刺す。きっと、万事屋が相手だからだ。

「ん…ぁ!!…や、其処っ…!」

「…此処?」

コリコリした所を擦られた瞬間、
身体に電流が走ったかのような感覚が俺を貫いた。何度も何度も其処を擦られる度に,前でやられるのとはまた違った快感に思わず腰が揺れる。

「ひあぁッ!!…やら、万事屋ぁ…!」

はしたなく溢れ出る自分の甘い声に、
気持ち悪さを心の底から感じるが今はそんな事に構ってる暇は無いくらい気持ち良い波に飲まれる。万事屋はゴクリと喉を鳴らせばまださほど慣らされていない穴に完勃ちした万事屋のソレが入った。

「あああああッ!!いだ…い、いだいよぁ…!!」

「っは…もうちっと……、」

グッと腰が推し進められる度に俺は先走りを垂れ流し,奥まで入った時にはその衝動で達してしまった。

「イっちまった…?土方」

返事が出来る気力が無い俺はコクコク頷くだけで声が出なかった。のどが痛い。

「んじゃ……もう楽になったから,ちっと激しくしても良いよな…」

「……な…?…ぁん、」

なにかとんでもなく恐ろしい事が聞こえた気がして聞き返そうとしたが,腰を揺らされ喘ぎに変わる。

俺の部屋は、粘着質な音と俺の声で響き渡っていた。恥ずかしさと何とも言えない気持ちで俺は変わらず顔が真っ赤だ。

「っは……は、っ」

万事屋の顔を見ようと後ろを振り向けば必死そうに腰を打ち付け汗を流しながら律動をしている姿は,欲に飢えた獣だった。

でも、
その飢えた獣でさえ
俺は愛おしく感じた。



こんな形で繋がりたくは無かったが、
少なくても幸福感を感じたことに変わりは無かった。激しく抱かれるのには少しばかり恐怖はあったが,気持ちがいいと思ってしまう俺は重症かもしれない。


俺はそんな事を考えて、
布団に顔を埋め全身で万事屋を感じた。



だからだ。




気付かなかった。


万事屋が携帯を取り出し、
俺のあられもない姿と、結合部分を隠し撮りした事に。




これのせいで俺は、
これから先の人生が360度変わってしまったのだ。


ガツガツ突かれ続け、
やがて絶頂を迎えた俺は中を一気に締め付けた。中に,熱が放たれたのを熱く、熱く感じる。


そして奴は……


万事屋は言ったんだ。



「土方…っ……愛してるよ土方っ、」


それと同時に
カシャリ、と何か機械音が鳴った気がした。


俺は、
さして気にせず意識を落とした。



其処で気にして起き上がっていれば…


なんて、
今更後悔しても遅いんだがな。



~続~

本当の愛は脆く儚く冷たい

本当の愛は脆く儚く冷たい

アイシテルって何ですか? 本当のアイって何ですか? 僕にそれを教えて下さい。

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-04-20

Copyrighted
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