つきのひかり

今夜は月が綺麗ですね。お月見をしましょう。
ほら、あの月の模様が兎に見えるでしょう。
ああやって、あの兎はずっとずっと昔から餅をついているのです。
そう、ずっと、ずっと。これからも、そしてこれからも。
それはきっと変わることは無いでしょう。
誰か一人でもあの月の模様が兎に見えるのならば
兎は餅をつき続けなければならないのです。
月は決して自分の体に空いた穴が模様だなんて思っていないかもしれないのに。
穴は穴。
それ以上でも、それ以下でもないはずなのに。
見る人や見る場所によってそれは兎に見えたり蟹に見えたりするのです。
不思議なことですね。
でも、確かなこともあるのですよ。
今夜の月と、わたしの隣で月の光を浴びている貴方は
とても綺麗です。

つきのひかり

つきのひかり

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-04-16

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