アイムハングリー、オブユー
私から君への手紙。
何度でも、私は君を諦めない。
私が君に出会ったのは、あれは15回目に生まれたころ。
私はその頃うだつが上がらず、何をやっても失敗続き。やっと職にありつけて、ようやく君を養えた。
君はいつも無邪気な目をして、私を見上げていたね。
ご飯ご飯、おやつおやつ。お昼寝しよう。
一緒に外に行こう。きっと花が綺麗だよ。
そう言って君は、何度でも絶望しかける私を連れだしてくれたね。
君を失って16回目。私は君を諦めかけた。
これからは私が強くならなくちゃ。私は君がいなくても平気にならなくちゃ。
でも君がいないと、私の人生は途端色をなくして、いつも潰えた。
私には、どうも君がいなくちゃダメみたい。
20回目に生まれた日、君は私に会いに来た。
今度は諦めないよ。そう言いながら、花束を持って。
しつこいなあ。
私は赤ん坊ながらにそう思って、ふああとあくびした。そして君の腕で泣いた。
君と出会って100回目。
君と私は夫婦になった。いつも話をして、あの時はああだった。これが面白かったよね、と笑いあった。
君と私に子供が出来た。君に似ていた。
80年経ったころ、君はまた死んでしまった。
もう追いかけるのはやめた。
だって家族がいるから。
君が連れて来てくれた家族。いつもおはよう、おやすみ、いただきますとご馳走様を言い合う家族。
全部君がくれたもの。全部私があげたかったもの。
ようやく手に入れたんだ。
空の上で待っていてね。
必ず会いに行くから。
その時は、何を話そうか。何を渡そうか。
君にこの人生を捧げる。
君を何度でも、諦めない。
拝啓、私の君へ。君の私より。
アイムハングリー、オブユー
書けました笑。