一〇八

一〇八

 男が闇の中を彷徨っていると魔羅(マーラ)に出会った。
「一つだけ願いを叶えてやろう」
 魔羅は言う。
 男は悩んだ。一つだけ叶うとしてどんな願いが一番適当なのだろう。金か女か権力か。一体何を選べば良いのだろう。
 少し考えて、男はひらめいた。
「俺の悩みをすべて消してくれ」
 魔羅はうなずき、指を鳴らした。
 男は消えた。

一〇八

一〇八

煩悩そのもの。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-04-10

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