イコール


何を言われても笑う子がいた。
みんなはそれをつまらなく思い、ひどい言葉を浴びせてなんとかその子を泣かせようと試みた。

しかしどんなに嫌なことを言われようとも決して涙を見せることはなかった。

言葉で攻撃するのをやめて、その子を無視するようになった。
しかしその子はいつもの調子で平然としていた。

むかつくので、今度は数人がその子に手をあげた。
顔を殴っても、お腹を蹴っても、髪を引っ張っても、その子は笑っていた。

殴る手が痛くなってきたので、みんなは手をとめ暴言を吐いてその子から離れていった。

いつのまにか、クラスにはその子と自分だけになっていた。

その子の顔には痣があり、頬が腫れていた。
二人だけなので、会話を交わすぐらいしてみるかと初めてその子に声をかけた。

「すごいね」

傷が。
その子は目を見開きこちらを向くと、唇を震わせて、泣いた。

イコール

イコール

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-04-09

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