90秒の朗読
「nana」という音楽アプリにて投稿している、約90秒の朗読用短編です。
二羽
夕焼けに包まれ、人気の無い公園を、ゆっくりと歩く。
私は独り、ベンチに座ると、木陰を見つめる。
二羽の小鳥が、遊んでいる。
目を細め見ていると、その端に人影が見える。
人影は私に近づくと、隣に座り呟く。
「あいつら、仲良いな」
「あぁ、所で、私のクビを切った君が、一体何のようだ」
「お前ともう一度、飛びたくてね。俺も辞めてきた」
彼は立ち上がり、私と対峙すると、微笑みながら、手を差し出す。
私は強く握り締め、見つめる。
「君が辞める理由が、分からない。私はただの抜け殻さ」
「お前は失くし、俺は忘れていた。子供の頃の想い。それが理由だ」
引っ張り立ち上がると、肩を組み空を見上げる。
群れが見える。
「遠回りしたが、行こう。皆が待っている」
二羽は飛び立ち、群れと共に羽ばたいていく。
密やかに
そよぐ風が、貴方を感じさせてくれます。
書き留めた手紙だけが、色あせています。
瞼の裏に映る貴方は、いつまでも輝き。
心の像に見える姿は、艶やかに瞬き。
想いだけが、募るばかり。
「秘めた恋」等と、自分は強がり。
貴方の笑顔と、想いは繋がり。
思い出せば、私は恥ずかしがり。
ただ、傍にいるだけで、幸せな時間でした。
貴方が約束を交わした人と。
幸せな時間を過ごしていると。
風の噂で聞き、密かに祝う。
いつまでも、私は思うのです。
この恋をして、良かった。
いつの日か、恋に悩む誰かに、素敵な話をしてあげられるから。
私の愛しい人には、秘密でお願いします。
いつも通りです。
90秒の朗読
読んでくださり、感謝します。