文恋番外編〜結菜side〜

結菜と太陽のそのあと


私と太陽は俗に言う遠距離恋愛だ。

会える日は、土日だけ。
けれどその土日だって会えるとは限らない。


明日も、そうなりそう。


ピロリン
ー結菜、ごめん!明日会えなくなった!

ピロリン
ーバイト先のひとが風邪ひいたみたいで、断れなくてさ、本当にごめん!



この前も同じ理由でデートが中止になった。
太陽のこと疑ってるわけじゃない。
でも……


=最近、風邪流行ってるもんね!

=太陽もうつされないよーに!がんばって(๑˃̵ᴗ˂̵)و


精一杯明るく。
太陽に迷惑かけたくないもん。


ピロリン
ーありがと!!今度埋め合わせするかんな!


=〈スタンプを送信しました〉

これでいい。
頭ではちゃんとわかってる。

けど、、



止めようと思ったのに、こんな馬鹿げたこと。

わざわざ電車で1時間半もかけて、
太陽のバイト先を見ようなんて。



文字から始まった私たちの恋。

でも貪欲な私は文字だけじゃ足りなくて。


太陽のバイト先は意外にもカフェだ。

「ええっ!?太陽が??」
わらって、すこしからかったら、

これだから言いたくなかったんだよ…って

「可愛いなぁ笑
なんでカフェなの?」

「家のすぐ隣にあるんだよ、個人経営のさ。
親父とそこのマスターが結構仲良くて、高校の時から半強制的に」

「あ、確かにあったような…」
緊張しててあんまり覚えてないんだけど、と付け足すと太陽はニヤッと笑った。

「大学生になって、今は1人暮らしやけどさ、そのバイトだけは続けてる。」


…案外たのしいしな。


きっとボソッと言ったそっちが本音だろう。

素直じゃないなぁ、、



「つ、ついてしまった……」

よ、よしっ、、

カランカラン…

ドアを開けて中に入る。
落ち着いた雰囲気の、綺麗な内装だ。

「いらっしゃいませー」

カウンターにいる、マスターらしきおじさんにこえをかけられた。
カップを拭いたまま、
「お好きな席にお座りください」

とりあえず、角のテーブルに座る、と…

向こうのテーブルでキャァっと黄色い声が上がった。
「お客様、お気持ちだけ有難く受け取りますね
では、ご注文のほうお伺いいたします…」

「おにぃさんのオススメは?」

「あ、私もそれ聞きたぁい!」

「雪カフェがオススメです」

「じゃあ、それ3つとーあとは……」



あの長身、整った顔がますますカッコよく見えるカフェの制服。

それに、3人の女の子に捕まっているみたいで…

(ううっ、やだなぁ、、くるんじゃなかった…)

こんなこと知りたくなかった。
バカだ、私…本当バカだ、、


「お客様?」

別のお兄さんに声をかけられていることにすっかり気づかなかった。

「は、はいっ!」

「ご注文お伺いいたします」
可愛い顔でにこっと笑って、、

な、なんだここ。
イケメンしかいないのかよ。

心の中でツッコミをいれる。


「あの、オススメは?」

「雪カフェがオススメです」

あ、さっきの太陽のオススメと一緒!

「じゃあ、それ1つお願いします」

「かしこまりました」


かっこよかったなぁ…
ま、太陽には勝てないけどね!

そう思って、クスクス笑った。



待っている間、太陽も見えないし本を読むことにした。

どれくらい読んだか、


「雪カフェでございます」

ん???

顔を上げると、

「た、太陽っ!!はっ!」
持っていた本で急いで顔を隠す。

「おい、なんで隠すんだよ」

…太陽、お、怒ってる??
やっぱりバイト先に来るなんてしちゃいけなかったんだ。

「あと1時間、待ってられる?」

うん、と頷く。

「あと1時間で上がりだから。」

それと、

そう言うと太陽はわたしの膝の上にジャケットをかぶせた。

これ、かけとけ。


…は、はい。

反論の余地なし。
返事も聞かずに踵を返して戻っていった。



やっぱり、絶対、怒ってるーーー!!?

文恋番外編〜結菜side〜

文恋番外編〜太陽side〜に続く!

文恋番外編〜結菜side〜

結菜は太陽のバイト先にいってー?!

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 青年向け
更新日
登録日
2016-04-07

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