女
ここは防衛省本部。グラマラスなブロンズ美女が全身黒ずくめの男に近寄っていく。
「カラスマ!これからあいてる?」
彼女の名はイリーナ・イェラヴィッチ。前職は世界中を駆け回ったハニートラップの達人、プロの殺し屋だ。現職としては、防衛省諜報部に所属している。
「…イリーナか。あいているが、どうした?」
「買い物に行きたいの、付き合って?」
以前の烏間なら当然断っていただろう、しかし
「…分かった。荷物を取ってくるから、俺の車の前で待ってろ。」
烏間は渋々といった様子でイリーナの申し出を承諾した。
「やった!カラスマ、大好「やかましい」
イリーナの言葉を遮るようにカラスマは歩き始めていた。
(んもぅ…)
同棲するようになってからも、烏間は依然として堅物のままであった。しかし、昨年度までと比べ、付き合いは格段に良くなったと言えるだろう。
暫くして、烏間が荷物を取ってやってきた。
「待たせたな」
「…!遅いわよ。さ、行きましょ?」
「あぁ。」
2人は車に乗り込んだ。
駐車場から車を出すとき、烏間がイリーナの座る助手席のシートに片手を乗せ、後ろを確認する仕草にイリーナは不覚にもときめいてしまった。
(…っ!いちいちカッコいいんだから…//)
車は首都高を走り出した。
「…諜報部での活動には慣れてきたか?」
「えぇ。私の話術、美貌、そして対人スキルを持ってすれば造作もないことだったわ」
「そうか、それなら良かった。」
「そうだ、あの子たちが……」
たわいもない会話を重ねながら30分ほど車を走らせると、郊外のショッピングモールへ辿り着いた。
車を降りる2人。
「さぁ、どこから回ろうかしら。」
「…できるだけ早くしてくれ。」
「それはどうかしら?ふふ」
2人は手こそ繋がないものの、其処には確かな愛情が見て取れた。…2人がそれに気づいているかは定かではないが。
「カラスマ!これはどう?似合う?」
「…あぁ、似合うんじゃないか?」
「じゃあ、これは?」
イリーナは様々な洋服を手に取り、烏間に感想を求める。
(正直言ってどこが違うんだか分かりゃしない。服なんて着られればそれでいい。)
思っていることを口に出さなくなっただけでも大きな進歩と言えるだろうか。
「んもぅ、反応薄いわねー、どうせどれも一緒だとか思ってるんでしょ?これだから堅物は嫌ねー…」
「…!そ、そんなことは思っていないが…」
図星である。
多少狼狽える烏間であったが、イリーナは気にも留めていない。
「よしっ、次はあっち行くわよ!」
「…分かった。」
既にレディースファッションの店に十数軒も付き合わされた烏間は、その体力をもってしても流石に披露してきている様子である。
「…あ!ねぇカラスマ、ちょっとここも見ていい?」
イリーナはある店舗の前で足を止めた。
「…?」
烏間はその店舗を見て愕然とした。
そこは、紛れもなくランジェリーショップ。つまり下着専門店であった。
「カラスマ、早く!」
イリーナは何の躊躇もなくそのピンクを中心に彩られた可愛らしい女の園へと足を踏み入れている。
「い、いや、しかし…」
「なに、カラスマったら照れてるの?かわいー♡」
顔をほんのりと赤く染めた烏間は必死で冷静を装う。
「そ、そんなことは、ない。」
「じゃあ良いじゃない、早く入ってきてよ」
店内を見ても、そこには女性客しか見当たらないが、それでも意を決して烏間は店内に足を踏み入れた。
「きゃー!かわいい!日本の下着ブランドはかわいいデザインが本当に多いわ!」
これも、これも、とイリーナの腕は下着でいっぱいになる。
「ねーカラスマ、白と黒、どっちが好き?」
イリーナが白の純情そうな下着と黒のセクシーな下着を両手で持って尋ねた。
「俺は黒しか好かん。」
烏間は自分の服を選ぶ調子で答えた。
しかし、すぐに自分の過ちに気付いた。
が、既にとき遅し。
「…!黒、黒ね、カラスマ!あんたもやっぱり男ね、こーんな面積の小さいのが良いなんて♡」
「ち、ちが…」
「これは買い決定!後は…」
2人がコントのような会話を繰り広げていると…
「あーっ!烏間先生にビッチ先生!」
「あっ!ガキ共!」
なんと言う偶然、元椚ヶ丘中学3年E組の女子が全員揃っていた。
「先生たち、デート??」
「ひぇー、熱々じゃん!」
「ランジェリーショップまで入っちゃって!」
元生徒たちに散々からかわれる2人。
「折角だからさ、私たちも見ていかない?」
誰かの意見にみんな賛成し、元教え子と教師2人がランジェリーショップにいるという奇妙な構図が出来上がった。
「…もうどうにでもなれ」
烏間は1人溜息をついた。
生徒たちは自分の好みのものを見つけては服の上から試着したりしている。
(もう少し、恥じらいというものを教えるべきだったようだ)
イリーナは試着室を使用しているようだ。
「どう?カラスマ♡」
「…?」
声を掛けられ振り向くと、其処にはほとんどの部分が紐で出来たブラとパンツを身に付けたイリーナがいた。
「…!!お前、そんな格好で男の前に出て来るな!」
烏間はとっさに視線をズラす。しかし、ズラした先は鏡であり、イリーナの下着姿をよく写していた。ブラは乳首部分がギリギリ隠れるか隠れないか微妙なライン。パンツはTバックでイリーナの形の良い尻が露わになっていた。
「なによ、固いわね〜」
「大体、他の客に見られたらどうする!//」
烏間の顔は赤く染まっていた。
「見られないわよ〜」
「…帰るぞ!」
烏間は能天気なイリーナを無理やり元の服に着替えさせ、買うものだけ買ってさっさとランジェリーショップを後にし、イリーナを車の方へ引きずって行く。
ほぼ無理矢理車へ連れ込まれたイリーナ。
「もうっ、もっと見たい店がたくさんあったのに!」
突然の烏間の行動に異議を唱えた。
「…お前は……自分の美貌とやらを散々自慢して来るくせに………」
烏間は困惑の表情を浮かべている。
「…え?」
イリーナが聞き返す。
「……あんなみんなが見てるところで下着姿なんか簡単に見せるな」
静かに、低い声で呟かれた言葉に、イリーナは少しビクついた。
「なっ、だって、あそこにいたのは女の子たちばっかりだったし…」
イリーナが抗議する。
「店の外からも見えるだろう。万一知らない男に連れて行かれでもしたらどうする。」
「そのくらい、自力で逃げて来られるわよ。」
その言葉に、烏間の目の色が変わった。
「…なら、試してみろ。」
烏間はそう吐き捨てると、助手席のイリーナの両手首を片手で拘束し、イリーナの艶めいた唇に口付けた。
「んんっ//」
2人の唾液が絡まり合い、どちらのものともつかない液体が口の端から流れ出る。
「はっ、どうした?抜け出してみろ。」
「っ、、」
イリーナは必死で身をよじるが、烏間の身体はビクともしない。
「続きだ」
烏間はイリーナの着ていた白いスーツを脱がし、真っ赤なブラを外す。
「…俺は好きだぞ、この色。」
烏間はブラから零れ落ちた双丘を揉みしだいた。
「ふっ…あぁっ……//」
「流石世界屈指のハニートラッパー、良い体だ。」
烏間はイリーナの真っ白な胸の頂点にあるピンク色にかぶりついた。
「ひぁっ!」
「どうした?脱け出せるんだろう」
烏間は笑っていた。
(こんなのっカラスマじゃない!!そりゃ私だって早くカラスマとこういう関係になりたいって思ってたけど……)
「ほーら、勃ってきた。気持ち良いんだろう」
「んんっ……気持ち…良いわっ……!」
「こんなに乳首を真っ赤にして。恥ずかしくないのか!」
烏間はイリーナの乳首に軽く歯を立てた。
「ふぁっ!//なんかくる!いっ、イっちゃうぅ//!!」
烏間はそれを聴くと手を止めた。
「それみろ、お前は男の手から抜け出せなかった」
「…!!」
「お前にいくら暗殺の技術があったとしても、お前は女なんだ。」
「だ、だけど……」
「…もう、自分を安売りするようなことはよせ。そして、俺を…俺を、頼ってくれ」
「…!分かったわ……」
「よし、帰るぞ。」
烏間は車を発進させた。
帰宅後、寸止めされたイリーナが欲情して2人が情事に及んだことは言うまでもない。
女