いつつの鐘 ドレスメイカーピン

入学して約1ヶ月

いつもの日常… ではあるが

今日は憂鬱な体育がある

この学校は前身が女子高であるせいか


女子でも【格技】の授業がある

柔道・剣道のいずれかを
選択し行われている

和美・万智は柔道を選んだ。

本音はどちらもやりたくないのだが

まだ柔道のほうが面倒くさくなさそう…。

ボーグトカ(*´ω`*)ナイシ

それだけの理由だ。


4月に行われた【受け身】【基本技】の授業に
引き続き
今回は【乱取り】が行われている


万智は和美と ぎこちない《素人丸出し》の動きで
【柔道らしきもの】を
組になりダラダラと稽古していた。

ただし、《ダラダラ》という表現は
他者から見れば の場合。

本人達はいたって真面目にやっている。


授業前に聞いていたのだが
和美は運が悪い事に生理痛がひどく
出来れば今回は見学にして欲しい、と
体育教師に願ったそうなのだが

あえなく却下となったようで
動くのもつらそうだ。


万智としても
当然それなりの気遣いはある
弱っている友人相手に
血眼で猛烈に攻め立てる趣味はない

それでも二人とも
教わった基本的なことを反復しようと
それなりに頑張っている


結果、二人の動きが緩慢に見えるのも
しょうがない事なのだ。

しかし、
このダラダラが体育教師の目に止まって
しまった。

先生としては
和美が生理見学を断られた為に

《ふて腐れている》

と、感じたようだ。



先生「はい、皆座って!」

生徒一同 『……?』

先生 「そこの二人!前に出なさい!」

明らかに怒気をはらんだ声と目付きに
怯える和美

おずおずと二人は前へ進んだ。


先生 「はい、この二人の乱取りを
皆で見てみましょう!凄いから!」

固まる和美に対し
どういうワケだか万智は平気そうで
動じる様子がまるで無い。

…それが更に先生の怒りの炎に
油を注いだようだ。

和美『…すみませ…』

聞こえないような小声で
ただ謝り続ける和美に対し
万智は一向に謝る気配がなく
のんびりした顔をしている。

万智にしてみれば
謝る理由も怒られる筋合いもないのだ。

もはや先生の怒りは
頂点に達しようとしている

ピンチ デ( ´ω`) オジャルカナ?

先生「はい、和美は下がりなさい…!
万智はそのまま…では…そうね!
萌、来なさい…!」

萌 『え、はい。』

萌はこの体育クラスに数名いる【黒帯】の
持ち主だ。

今までに会話した事はないが
柔道が強く、有名な大会などでも
上位入賞したと噂にきいた事もある

とても大きなゴツい子だ。
180近くはあるようにみえる。
その威圧感と外見は【モアイ像】を
彷彿とさせる。


先生「萌、このちっちゃいのに
柔道を教えて上げなさい…。
乱取りで良いから!万智は萌から一本とるまで
今日の授業は終わらないから!そのつもりで♪
じゃ!いってみよう!」

《いってみよう!》のセリフは
欽ちゃん風におどけて言っているが
その声は怒りで震えている。

・・・・小者感(こものかん)が凄いなぁ・・・・

万智はその震え声を聞いて
そんな印象をうけた。


対峙する【万智】と【萌】

向かい合う【138】VS【180】

【ドシロート】VS【有段者】


一本取る、どころか
大人と子供以上だ。

和美は半泣きで『ゴメンね』と繰り返している。

静まり返る柔道場

万智はそんな和美を振り返り
誰もが予想しなかった一言を(はな)った。

『 ま か し と き !』

ワッ!と沸く道場

それを聞いた教師は
もはや完全に赤鬼のような顔をしている

先生「…萌っ、膝車(ひざぐるま)!」

組み合った瞬間
ヌイグルミのように転がされる万智

どうやら奇跡は起きないようだ。

先生「大外(おおそと)!」

ふらふらと立ち上がりざま
またもや投げ飛ばされる万智


先生「〇〇!…〇〇!」

万智には もうよく聞き取れないが
何かの指示が出るたび
床が凄い勢いで迫っては強烈に叩きつけらる
その鋭い痛みが万智を襲う。

万智《 …うん?柔道って【道】じゃないの?
【道】って人間を成長させるものじゃないの?
他人を思いやるものじゃないの?
具合の悪い人を無理に参加させて気にいらないと恥をかかせ罰を与える…?》

投げ飛ばされている合間合間
万智はそんな事を考えていた。

《うん…先生にも モアイにもそれぞれの
理由と信念が在るのだろう…でも…これは…》


━━━ここで話は少し逸れるが━━━

万智は かのキューバ革命者
【チェ・ゲバラ】氏
の生き方を尊敬している。
弱者の為に私欲なく立ち上がり
絶対支配者に挑み、そしてついには勝利した
命をかけて望んだ平和を手に入れて なお
その後与えられた地位を棄て
新たな場所に苦しむ
新たな見知らぬ弱者の為
新たな戦いに身を投じ
戦いの中で死んでいった。

社会的な思想や政治は関係ない

勝ち負けは重要ではあるが
それよりも先ずは立ち上がる事

その姿勢、生き方に強い感動を受けていた。

彼については様々な意見があるが
万智にとっては
【マザー=テレサ】と並ぶ世界の二大偉人だ。

見習うべき存在だと考えている

何が正しいのか?
何が間違いなのか?

これは【社会に決められた常識】
に指図されるのではなく
自分で決める事だ。

参考にするのは良いだろう
意見を聞くのも大事



だが…少なくとも
今の体育教師と その指示に ただ漠然と
盲目的になり
それのみが一般的、
社会的な常識と捉え

【先生がいうのだから正しい】

それを絶対のものとして
狭量な正義を振りかざし
ただ遂行する目の前の大女には
万智の認識している正義はない━。

謝らないし、
負けたくない。

ゲバラ氏にもマザーにも恥ずかしい
生き方はしたくない。


先生「もうパンチでもキックでも何でもいーから
やり返してみなさい♪」

うなだれる万智の顔を覗き込み
そう笑顔で呟く教師


━━━━これはもう柔道ではない━━━

いや、授業でさえもない。

中学では優等生、優秀と呼ばれた万智

(……和美が何か叫びながらこっちにくる……)

でも最近は疑問に思う
優秀という存在は先生方や保護者にとって
ウケがよく都合のよい存在

( あーあ…ホウキを振り…回してるよ… )

平均より秀でた能力で(すぐ)
(えら)ぶるのではなく
その能力を弱いものに対して
(やさ)しく使う

( あ、先生に…ヒット …)

それで初めて優秀なのではないか…?

( ビンタ…されて…ぶっとばされてる… )

頑張っても頑張っても結果が出せず
劣等と呼ばれる人間もいる

( あれ…あしに…血…が )

また、生まれながらに
ハンディキャップを持った人々。

(…あ、…せいり…か…)

這い上がれない程に貧しい場所に
生まれてしまった子供も。

(………ホウ…キの草…バ…ラバラ……)

全てがダメな人間は居ない
全てが完璧な人間も居ない

うまく行かない部分を持った人間を
もとより恵まれそして育った
秀でた力を持った人間で
皆で等しく優しく
補い合う

(……お…ちて…くる……)

その為に【(あた)えられた (ちから)

私欲の為だけに使われる力は
【 暴力 】ではないのか?

(……まるで……)

補い合い
助け合う

この世界に一人の例外もなく

その先に平等で平和な世界がある筈。

(…なが…ほ…そい…)



目の前のモアイは確かに
一般より(すぐ)れた能力を持つのだろう

この力量は並みではない。

だが、少なくともここに(やさ)しさは無い。

たとえ有ったとしても履き違えた優しさだ。

(………雨…み…たい…)



薄れていく意識

ぼんやりと まだ和美がこちらへ向かってくる
光景が見える

そんな事をイチイチ考えずとも
自然に行っている人間が
極わずかに存在している

後先考えずに損得などまるで関係無く
ホウキを振り回した
目の前のおバカさんとか。


でも、このおバカさんの正義を護りたい

・・・それはきっと私の理想だから・・・

・・・・・理想への一歩目だから・・・・・


そんな中ふと
朧気(おぼろげ)に懐かしい声が聞こてくる


━━━━━━殺り━━な…い━━━━━━━

━━━━━殺りな…さ…い━━━━━

━━━━()りなさい!━━━━


【 目覚めよ! 】

と呼ぶ声が聞こえる。



━━━━これより遡ること数年前━━━━

その外国人のお爺さんは亡き祖父を頼りに訪ね
日本にやってきたのでありましたが

祖父はもう亡くなっていたし
もはや家も落ちぶれていました

それでも
まだ土地や小屋は幾ばくか残っていたので
祖母はその方に祖母名義で残っていた
土地付きの古小家を
ほとんど無償で貸りて貰う事にしたのです。

生活その他の雑事を手伝っていただき
心ばかりながらも
お手当てもつけて

その方は財産など
まるでない人でしたが
うちの田畑の野良仕事を
とてもよく手伝ってくれていました。

万智(筆者)もこの風変わりだが
穏やかで働き者のお爺さんが
好きだったので
よく古小家に遊びに行っていました。

そうしているうちに

『爺は何もお礼できる品物も持っていないし
お金もないからサ』

…と、言って万智に【手相の見方】と
それに関係した【お遊戯】だといって
踊りを教えてくれたのです。

その踊りの使い方も。

しかるのち遊びに行く度、順々に

田んぼの泥の中を歩いてみたり

杭の上を跳びはねてみたり

奇妙なケンケンパも。

他にも色々

そうそう、二人で鬼ごっこにも似た
ゲームもよくしました。

それらが全てが
ある【武術】の基礎だと知ったのは

随分あとになってからでした。

『 本当は日本の人には教えてはダメなのヨ
だからこっそり万智にダケネ 』

本格的に教わりだしてからも
肝心の武術の名前は教えてくれません。

『 万智は体が小さいから【槍】と 【?】も
教えておこうネ』


基本・幾つかの型・応用・戦闘法・
そして兵器術。

(【?】は秘密 )

手相の見方も含め

一応カタチになるのに数年が過ぎた頃

それを計ったように
お爺さんは自分の国に戻っていきました。

後で聞いた話ですが
実はお爺さんは外国人ではなく

もともとは日本人で私の血族なのだそうです。

そこら辺はちょっと書けません。

習った武術も向こうの国でさえ
非常に珍しいもので

ましてや日本でコチラを修めたのは
何人も居ないと思われますし、

私が習ったものに限らず
武術は宗教に直結しているものも多いのです。
裏切りは許されないでしょう

なによりお爺さんにも
迷惑が掛かりかねないので
詳細は伏せます。


それに書くと高確率で身バレの危険が
あるため明かせません。


スミm(__)mマセン

━━━━━━━━話に戻ります━━━━━━━


お爺さんの声だ…!

そうだ、まずは呼吸…!

切れ切れの息を整え

ある言葉を呟く

………………

『 ……()()滿()()……續霊(ツヅチ)! 』

何かが降りてくるような
この感覚
力がみなぎるのが分かる
全身が総毛立っていく


・・・・・・・・・

━━━【 power call 】━━━━

運動選手(アスリート)武道家(ファイター)たちの中には
自分の力を引き出す為、
ルーチンとして決まった作業…
いわゆる験坦(げんかつ)ぎを
行う選手がいる。

その仕草、方法は人によって様々だが
ある種の《呪文》を唱える者もいる。

密教でいう【真言】や【九字切り】と
いったモノもそうなのかもしれない。

心理学的にも一種の自己催眠として
有効視される手法だが

科学的な解析では
およそ【説明出来ない程の能力】を発揮する
場合もある。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


万智は 近寄る和美を
片手を挙げて制し、止まる様に促す
無言のまま見詰め《大丈夫》と眼で伝えた

…スッ…と
あらためて萌に向かい直す

先生「萌、背負い!全力!!」

萌の【背負い投げ】は
有段者同士の間でも

特に恐れられている一級品だ。

投げられ
畳に叩きつけられた直後に
加速した萌の巨体が
更に対戦者の上へと落ち
強烈に圧迫される

小柄(こがら)な万智がくらえば
それこそ ひとたまりも無い事は
容易に想像できる。

萌の万力の様な大きな手が
ガッチリと万智の柔道着を掴む

━━━刹那━━━

独楽(こま)のように回転し
舞い上がる万智の身体

殆どの見学者達が…やっぱり投げられた!
と当然ながら起こるべき
惨劇を予想して思わず顔をそらす

しかし

1秒にも満たない(のち)

うずくまっていたのは
萌であった

なんとか立ち上がった
萌の右肩からダラリと垂れ下がった腕は
あらぬ方向を向いている

恐らく肩関節を脱臼している

指も2,3本折れているのか
これも逆を向き
幾つかの生爪が今にも剥がれ落ちそうに
プラリと皮一枚で繋がっている状態だ。

うずくまる萌に
万智が無表情でゆっくり近づいていく

・・・・・・・・

━━━━萌はワケが解らなかった━━━

まるで【別人】だ。
いや、【人どころではない別の生物】…?

冷静に思い返してみる

掴んだ瞬間、
あとはいつもの通りだ。
ましてや 素人の どチビ

勝つも負けるもない。

嫌な仕事ではあったが
これで先生も納得するだろう。

勿論 加減はする、
そもそも軽く投げても
おそらく失神するだろう。

それで終わりだ。━━━━━

その推測は当然過ぎる結果。

周囲に居た皆もほぼ全員
すぐ起こるであろう
万智の悲惨な未来を想像している。

何が起こった…?

萌は一呼吸おき
唐突に理解した

万智の技はまだよく把握出来ないが

完全に【自分を殺す気】であることを。
この肩も外れたからこそ
助かったのだ。

万智の先ほどの攻撃は恐らく
自分の手首を千切(ちぎ)り飛ばすのが目的だ。

肩が、もし外れ無ければ
今頃…手首から先は もう消え失せていただろう

それだけのダメージを
この手首の激痛が物語っている

そう考えるとゾッとする

その上で眉ひとつ動かさない
万智の無表情な顔つき

万智の大きすぎ、だぶつく乱れた柔道着の裾が
まるで人間ほどもある超大型の
【猛禽類】の翼を連想させる

先程の一連の攻防は
まるで【猛禽に襲われる人間】の姿だ。

ばたつく翼を はためかせながら
獲物を仕留める事に
猛禽が己が能力の全てのベクトルを向けている


━━━━食い殺される━━━

逃げ出したい衝動に
駆られる萌


その獲物の脅える姿を目から離さず
万智は和美が先ほど振り回していた
床に落ちる
長柄箒(ながえぼうき)】へと
歩いていく

ひょいと拾い上げると

軽く2,3回振っている。

但し、この長柄箒は道場の神棚のほこりも
払えるように作成された特注品だ。
柄の部分だけでも
190㎝はゆうにある

武器として使用するつもりならば
とてもではないが
小柄(こがら)な万智に扱えるものではない

そう、この場にいる大多数の者が
考えていただろう


だが、万智には箒を手放す様子はない

少し(うなず)

箒をヒュンと回す

ヒ ュ ン……・ヒュン…・ヒュッ

凄まじい勢いで回転が加速していく

右、左、斜め…ピヒュッ・ピッッ…

もはや目では追えないスピードだ。

舞い散るように落ちていく
ブラシ部分はまるで嵐の日の豪雨のようだ。

その豪雨の中、棒を自在に操りながら
まるで踊るような動きを見せたと思うと
突如跳ねるように萌の前へ

そしてビタッと回転が止まる

その(ほうき)には

もはやブラシ一本すらも付いていない。

箒というより完全に只の棒だ。



ちらりと萌を見ると同時に
《シュシュンッ》
と閃光のような突きが(はし)

2連の突きが

萌の両膝の関節を寸分違わず撃ち砕く

鋭い痛みのあと

萌はこの攻撃の意味も
残酷に理解していた…。

・・・逃げられないように破壊しているのだ
あえて急所を一突きにしないのは
私に投げられた以上の苦痛をじっくり・・・

━━━━━━━━

…と、クルリと向きを変え
教師へと翔ぶように向かう万智

先生はあまりの光景に
腰を抜かし口をだらしなく開け
ただパクパクと動かしている

ゆっくりと棒の先端が
教師の喉笛を触る

これは予告だ。

まるで巨大な(いしゆみ)の様に
万智の身体が渾身の力を溜めて しなってゆく
足の位置はそのままに
重心が後方へと引き締められていく独特の動き

狙いは完全に急所の喉を見据えているのが
誰の目にもわかる

ギリ…ギリ…ギッッ

人間の筋肉が出しているとは思えない
まるで金属が擦れ合うような音が
静まり返った
道場に響きわたる

━━━キュンッッッッ

そして放たれた
まるでライフル銃の弾丸の如き
【必殺の一撃】が悪徳教師の喉を突き破る!


…かに見えた。

が、その一撃は教師の喉の横スレスレをかすめ

標的がもたれ掛かっていた
壁に突き刺さっている

驚くべきは内壁、断熱材はもとより
外壁のコンクリートさえ突き抜け
建物の外にまで露出した【一本の棒キレ】

コレは只の【木製の(ほうき)()】だ。

その威力は推して知るべき、
と いうところであろうか…

万智が()えて外したのではない。

必殺の瞬間、
和美が万智に体当たりしたのだ。

和美「死んじゃうよ?」
泣きそうな笑顔でパチンと万智の頬を叩く


万智の目に徐々に正気の光がもどって行く

と、同時に膝が崩れ
倒れ込む万智を
慌てて和美が受け止める

弱々しい声で和美に呟く

万智『 …ホウキは…こう使うのだよ… 』

和美「…違うと思うけど…υ」

万智 『とりあえずゴミ掃除という点で同じ…』

和美「なるほど」
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・

この光景を震えながらも
しっかりと、目に焼き付けていた
【萌】はのちに
万智の考えに賛同するようになり
同校の教師となった。
そして後輩でもある教え子達に
誇らしく語り伝える



『その槍の様にも見えた棒を
自在に操る小さな勇姿は
まるで意思を持った巨大な
【まち針】のようであったと…。』

そして、
それがまだ

天下布優(てんかふゆう)】の旗を掲げ
世界を救った
(レイン)れ待ち(メイカー)】伝説
の始まりでしかなかった事を。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━舞台は変わり━━━


━━━中庭でランチ中の和美、万智、萌━━━━

万智「・・・という惨劇が懸念される為、
私は体育を お休みするのです 」

和美『…あたま大丈夫?』

萌 『・・・』

長々と説明された この【作り話】は

あまりにも体育の授業を
サボり過ぎる
万智を注意しに来た

和美と萌に《サボリ魔・万智》が
訥々(とつとつ)と語ってみせた
【 万智の危険予想論 】である。

だが一部分は本当の話だ。


万智 「世界平和はともかくとしても
こんな(ふう)になるの皆、ヤでしょ?」

和美 『正気? でも、まーまー聞けたけど。』
と苦笑する

萌 「・・・・・・」


万智 『万智覚醒シーンではBGMに
【YUKI】ちゃんの《♪ランデヴー》が
オススメなのです。』


和美 「?、そんな歌詞だっけ?」

萌 『・・・・・・』

万智 「…ノリ♪ 和美にそんな気はないから、
安心して。」

萌 『・・・・・・・・・・・ね・・?』

和美 「え、なに?」


萌 『・・モアイって・・私じゃないよね?』


和美・万智「えっ…?!」
二人がその言葉に衝撃を受ける


「………何度も【萌】って言ってたじゃん?……」
コソコソと小声で確かめ合う万智と和美。


萌 『・・・違うよね・・?』


紅潮したゴツいお顔
その目には ナミダ が充満し
今にもこぼれ落ちそう。

外見はともかく【萌の心】は
いわば《アルプスの少女》に
登場する【箱入り美少女クララ】なのだ。


実は誰にでも優しく
なにごとにも丁寧に接する
そんな乙女なのです。


━━あるブスの少女━━

そんな風に言ってはならない。

和美「万智、謝って!」

万智
『みんなだって私の事いつも チビチビ って!』


「……違う…よね?……」
ホロリと涙がひとすじ



『あたりまえだよ!違うよ!』
突然強い口調で言い放つ万智。
そして至極、真面目な顔で 萌の肩に優しく
手を乗せ、こう優しく諭す。
『架空の人物だよ…!どうしたの急に?
ほら、柏餅あげる♪コレ美味しいんだから~
ほっぺた落ちちゃうよ』

イースター島 ニハ (*´ω`*) チョット ナイ オイシサ

和美
「 …?!コイツ…!」

・・・
・・

そんなこんなで
今日も学園の日は暮れて
いくのでありました。

ちゃんちゃん♪


・・・・つづく。

P, S

次回はとうとう
真打ち【コウ】が登場する話の予定です。
コイツハ(*´ω`*)スゴイヨ

長文を読んでくれたあなた様!

本当にありがとうございました♪
m(__)m

ではまたいずれ

いつつの鐘 ドレスメイカーピン

いつつの鐘 ドレスメイカーピン

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • アクション
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-04-05

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

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