この想い

切ない乙女心

 その日は彼の誕生日だった。

 日付が変わる少し前に電話をかけた。
 
 プルルルル、プルルルルル

 どんなに待ってもその音はやむことがない。

 いつしか時計の針は十二時を過ぎていた。

 一番に「おめでとう」と言いたかったけど、そんな簡単に奇跡なんておこらないこと、私は知っている。

 だからねメールで伝えたんだ。たった数文字だけど、なかなか打てなくて

 涙をこらえるのに必死だった。

 次の日、携帯をみたけど彼から返信はなかった。

 少しだけ悲しい思いをしながら学校へ向かった。

 教室に入ると彼はもうそこにいて、私の親友と話している。

 しばらくして話が終わったのか、彼女は私の席にきて言った。

 「私達、付き合うことになったの!」

 彼に片思いしていること、親友はまだ知らない。でも彼女が彼を好きなこと、私は知っている。

 だからね頑張って笑って言ったの。

 「おめでとう」

 って。

 ねぇ神様、もし過去に戻れるのなら……親友より先に告白をしていたら

 未来は変わってたの? アドレス交換したのだって、親友のついでだった私。

 あの子みたく、積極的に行動していたら私も……

 誰か教えて。私はどこからやり直せばいいの?

この想い

この想い

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 青年向け
更新日
登録日
2016-04-01

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