始まりと終わりを告げる鐘~ world collapse

世界が崩壊へと向かう。この結末が見たいか?

First episode Bell of beginning

悲鳴が聞こえる、骨が折れる音が聞こえる、さらには無慈悲な魔法詠唱、無慈悲な剣技詠唱。

上空ではドラゴンが飛び回り炎を吐く。

人間たちは逃げ回り、そのあとを異形が追いかける。捕まれば頭から喰われて死ぬ。頭を喰われて死んだ人間には、存在の形が分からない……そこに存在している何かが群がり血をすする。

一部の人間が反撃し、異形が倒れるが、謎の空間の歪みからまた異形が出てくる。

きりがない。そんな一言が相応しいありさまだった。


 少年は逃げている。

今、目の前で起きていることから逃げている。

後ろで悲鳴が、声が聞こえる。

「ヘルンツ! 助けてくれ! 俺は死にたくない!」

少年……ヘルンツはその声を無視し、さらにスピードを上げた。

「ヘルンツ! おい! 助けてくれないのかよ!」悲鳴と、絶望が入り混じった声で少年……俺の友達が叫んだ。

「ごめん、ごめん。俺だって死にたくないんだ!」


 「ギャア! ギャーーーーーー! 死んじゃう、死んじゃうよ!」

悲鳴が彼女の耳に響く。弟の悲鳴だ。

今日は彼女の弟の誕生日だった。だからプレゼントを買いに行っていた。

そのとき異形がいきなり襲ってきたのだ。

「待って! フラン! 私たち家族を置いていかないで!」裏返った声で彼女……フランの名を叫んだ家族。

その声に反応し、別の声が聞こえる。

「うぅぅ……ごめん!」半場泣き叫びながら走り出した。

フランは逃げながら呟く。

「ごめんねみんな。私も死にたくないんだ。できればみんなを守りたい。だけど私にみんなを守る力はない……。だから逃げるの。」どうしようもない、何もできない。そのような感情が含まれた声だった。


 今、この村で生き残っている者たちは全員、知り合いを見捨てて生き残ろうとしている。


「ククッ。面白い、面白いよ! 友達を捨て、家族を見捨てて逃げるなんてさ!」上空で今までの様子を見ていた謎の男が、興奮したように叫んだ。

謎の男は、黒いローブを着て、視力補助機器を賭けている二十代風の男だ。

「ハンス、君もそう思わないかい?」謎の男の後ろに居た、スタイルの良い、おそらく女性に謎の男が声をかける。

「そう思います。王。しかし、この村を破壊しつくして私たちにメリットはあるのですか? 私たちの目的は何なんですか?」ハンスは疑問を疑念たっぷりの声で口にした。

謎の男……王は、ハンスがいる方向に顔を向け、一言口にする。この世界の人間たちが聞いたら絶望する一言を。

「ああ、君には言ってなかったっけ? 我々の目的は……この世界の滅亡さ。」

「まさかそんなことできるのですか?」ハンスが動揺が隠せない調子で聞いてくる。

「ああ、できるさ。だからまずこの村を滅ぼそうか。」王が興奮しているように言ってきた。

「なるほど。ここが光りの巫女がいるといわれている所だからですか?」ハンスが聞き返してくる。

「光の巫女のこと知ってたのか? そうだよ。その通りだ。」王は返事をしながら、頭の中である出来事を思いだす。

 自分の前に現れた男の姿を。そのとき聞こえた美しい鐘の音を。俺の人生を決めた、始まりを告げる鐘の音を。

 そして頭の中でつぶやく。

           これが、夜桜様のお望みだからね。


 「フッ。フハハハハハハ! なんて面白い。私が考えた計画は最高だ。以前、東京でデスゲーム事件を起こしたとき以来だ!」男が叫んでいる。ずっと、ずっと、ずっと、楽しそうに、愉快そうに。

始まりと終わりを告げる鐘~ world collapse

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始まりと終わりを告げる鐘~ world collapse

始まりと終わりを告げる鐘~ world collapse 世界が崩壊へと向かっていく。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-03-30

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