恋
ねぇ、君っていつもそんなに優しいの?
それってさ、けっこう疲れない?
私もね、こう見えてかなり対応良い方なんだよ。
相手を傷つけないように、そおっと割れ物に触るように。
そんな風に人に接してる。
ただ、これってすごく神経使うんだよ。
たまにさ、自分はいったい何やってるんだろうって思うんだ。
自分の本心を隠してる。
そんなつもりはないんだけど、実際はそうなってしまっているんじゃあないかって。
他人に怒鳴られたり大きな声を出されるのが怖い。
きつい言い方をする人間が苦手。
だから、私はそうならないように努めてきた。
そしたらいつもニコニコ楽しくもないのに笑ってる。
そんなことってない?
いや、基本的には他人が大好きなんだけど。
態度には表さないからか、その愛の重さに他人はびっくりするくらいなんだけど。
愛ではなく、愛着、或いは執着なのかもしれない。
或いは私の妄想により膨らんだナニカ。
だから君のこともそうなんだ。
離れた距離、時間の分だけ妄想が膨らむ。
君の言葉は格別に優しい。
その優しさに尊敬と同情を。
私はきっとあなたが好き。
でもきっとこの言葉はあなたに届くことはないから。
私はまたあなたの影を求めて彷徨い歩く。
代替品を見つけては、あなたと比較してしまう。
恋って本当に難しい。
恋