モテ期

日曜日の昼下がり、3歳の息子はブロックで遊んでいる。彼はお城をつくるのがマイブームなのだ。ヘンテコなお城が出来あがったら「見て!」となるだろう。
私は、視界に息子の姿をとらえながら頭の中のTO DOリストを繰る。先ずは買い物、帰ってきたら洗濯物を取り込んで夕飯の支度、明日の保育園、仕事の準備もしなければいけない、それより献立は何にするか、スーパーに行ってから決めるべきか。考えながらぼんやりソファに座っていた。

そこに夫がやって来て「もっと端に座ってくれ」と言う。
なんだ、真ん中に座っちゃいけないのか、ムッとしながら端に座り直すと、夫はソファに寝ころんで私の太腿に頭をあずけて文庫本を読みだした。
なんだ、甘えたいならそう言えばいいのに、しかし子供の前でこういうのはどうなのか、別にいちゃいちゃしているわけでもないからいいか。
夫の髪に触ってみると、あ、この人白髪がでてきたな。

すると今度は息子が「ダメ!」と言いながら駆け寄って来る。夫の頭を押しのけようとする。夫は「ちょっとくらいいいじゃん」とか「お前だけのママじゃないんだぞ」と言って抵抗してみせたが結局その場を明け渡した。息子は私の膝によじ登ってきて、今はテレビを見てる。

男子二人が私を取りあうなんて。たぶん今日が私の人生最大のモテ期。

モテ期

モテ期

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-03-29

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