ジョシコウセイ
50年前の11月24日に起こった神守学園女子高生大量殺人事件。
元々女子高だったこの学園が共学になったのは殺人事件が起こった翌年。
それから10年何事もなく平穏な日々が過ぎ、殺人事件のことも忘れられ始めていた。
しかし事件から10年目の11月24日、今度は殺人事件ではなく、女子高生の大量自殺事件がおきた。
どれだけ調べても誰かに殺された形跡はなく、彼女たちは確実に自ら死を選んでいた。
警察にも手が負えなくなり、その事件は迷宮入りとなった。
しかし20年目を迎える11月24日、また女子高生の大量自殺事件が起こる。
その日を村の人々は呪いの日と呼び、何年にも渡り語り継がれた。
そして30年目もまた、その呪いの日は訪れ、その度謎を解明すべく集められた者たちは皆死んでしまうのだ。
そして50年目を迎えた2016年4月
高校二年生になった水谷伽耶は両親の都合で神守村へとやってくる。
神守村唯一の全寮制高校、神守学園へ編入することに。
しかしそれが悪夢の始まりだった―
登場人物
15人の選ばれし者
水谷伽耶 カヤ
熊谷彩希 サキ
石添芽衣子 メイコ
木崎綺音 アヤネ
倉木妃奈子 ヒメ
寺田萌子 モエコ
橋本蘭 ラン
尾野紫苑 シオン
吉川美琴 ミコ
逢沢霞 カスミン
藤井泉 イズミ
新木世奈 セナ
夏川響 ヒビキ
北瀬古入花 イリカ
関本三織 ミオリ
神守学園男子生徒
天王寺望 ノゾム
光森奏 カナデ
香椎聡史 サトシ
天野諒真 リョウマ
手塚真之介 シンノスケ
二見肇 ハジメ
橘哲太 テッタ
内田輝彦 テル
1.転校生
こんな村きたくなかった。
新しいその場所はなんだか不穏な空気を漂わせている。
森林に囲まれ、空気がいいはずなのに息苦しい。
東京の難関高校に入学し一年、必死で頑張った勉強も親のせいでパーになった。
一人暮らしを許してくれなかった父とは一生会話しないと決めている。
高校が楽しかったかと聞かれれば、楽しいことなんて一つもなかった。
友達はいなかったし、もちろん恋人だっていなかった。
私には夢がある。
弁護士になることだ。
弁護士になって理不尽に訴えられている人たちや、困っている人たちを救うのだ。
だから友達もいらない、彼氏もいらない、勉強さえできればそれでいい。
そう思っていたのに。
高校二年生になる直前、母から父の会社が倒産したと聞かされた。
父の実家がある神守村へ引っ越すという話を聞いたとき嫌な感じがした。
もちろん転校することが嫌だったのもあるが、それとは別にその村になにか違う嫌なものを感じた。
女性特有の女の勘というやつだろうか。
その嫌な感じがなんなのかもやもやした気持ちのまま引越しの日を迎えた。
私はこの村の全寮制の学園に編入する。
祖父が学園長と友人で口をきいてくれた。
この村の高校は神守学園しかないので同い年の子たちはみんなここに通っているらしい。
父の実家に着くと、祖母と祖父が迎え入れてくれた。
高校は明日から通うことになっているが、今日から寮に入る為、母の運転する車で向かった。
車の中で、母は「ごめんね」と何度も繰り返した。
それがどういう意味だったのか今の私には知る由もない。
ジョシコウセイ