クリスマスの夜、君の隣で。

ープロローグー

クリスマスなんて本当にくだらないものだと思う。
神に祈りでも捧げるならまだわかるけれど、恋人達が騒ぎあって、何が楽しいんだろう。
さっぱりわからない。…思えば幼い頃からクリスマスは嫌いだった。クリスマスにみんなのように家でごちそうやケーキを食べ、サンタさんからプレゼントを貰う、だなんてうちではそんなことが一度もなかった。
クリスマスにサンタさんから◯◯貰った!なんて言うみんなが羨ましかった。ママはどこかに出かけてしまうし、パパは仕事で帰ってこなくて、クリスマスはいつも、1人ぼっちだった。
寂しくって、唯一持っていたクマのぬいぐるみを抱きしめて過ごした。この世で自分だけ1人ぼっちのような気がした。窓の外から聞こえるクリスマスソングや喧騒が余計虚しかった――

第1章

…―――――今年もいつも通り、町は五月蝿い。ピカピカと光る、イルミネーション、大きな音量で流れる音楽、行き交う人々の声。お店はどこも、クリスマスセ―ルと題しデカデカと看板や表示をはり、クリスマス仕様となっていた。

ショッピングセンターの窓から、外の様子を眺め、あぁ、クリスマスか…とぼんやりと考えていると、「ねぇねぇ、みゆい!これめちゃくちゃ可愛いくない?!」と仁香(にか)が興奮気味に伝えてきた。
彼女の手には某有名キャラクターのテディベアのストラップ。
うん、すっごい可愛いと頷くと、彼女は満面の笑みでだよねだよね!買っちゃおうかなぁ?でももう他に沢山買っちゃったし…と言っていた。
ふふっ、と微笑んでしまう。可愛い。仁香から尻尾がみえる。ぶんぶんとしっぽを振っている。小柄で色素の薄い彼女はまるでチワワのようだ。
う~んと、しばらく思案して彼女は会計行ってくる!と言ってすたすたと会計に行った。 結局買っちゃうらしい。
レジは少し人が並んでいたので店の外の通路脇のベンチで待っている間少し休むことにした。
さすがに何時間か歩きっぱなしだときついな―、運動不足かなと思いながらボ―っとしていた。

クリスマスの夜、君の隣で。

クリスマスの夜、君の隣で。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 青年向け
更新日
登録日
2016-03-23

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