カエル

 蛙の王様は、ある日、とても悲しくなった。王様は、孤独でいっぱいだ。王様には、多くの臣下がいた。でも、友人は1人もいなかった。王様は友達が欲しかった。
 そんな、ある日、王様の街で、蛇が捕らえられた。王様は嫌われ者の蛇に、言った。「どうして、この街にやってきたのだ。お前は、蛙を食べに来たんだろう」蛇は、哀れな声で、早口にまくしたてる。「私は蛇の王様でした。でも、ある日、信頼していた友人に追い落とされて、国を追われてしまいました」王様は、蛇の王様に友人がいたことに興味をひかれ、処刑を一日延ばしました。その夜、蛇のもとを、蛙の王様は、こっそり訪れます。「なあ、蛇の王様よ。私は、孤独なんだ。どうしようもなくね。どうにかしたいんだ。助けてくれ」蛇は、ふたまたの舌を出して、おかしそうにしている。蛙の王様は、次の1日次の1日と、処刑を延ばし、何度も蛇を訪ねた。けれども、蛇は、何も言わなかった。
 それから一ヶ月後、とうとう蛇の処刑が行われる日がやってきた。王様は、他の臣下の手前、これ以上蛇を生かしておくことは、できないと思っていた矢先。蛇は、初めて蛙の王様に答えた。「王様が友人を作る方法は、一つだけだよ」「それは、なんだ?」蛙の王様は、教えてくれとせがむ。けれど、蛇の王様は、細い体を、振り子のように動かしながら、遊んでいる。蛙の王様は、諦めることにした。そして、蛇を処刑しなければいけない。蛇と蛙は、敵なのだ。
 多くの蛙たちが、集まってきた。皆口々に蛇を罵る。一方で、蛙の王様を憧れの眼差しでみている若い蛙もいる。まだ、尻尾がついている。蛙の王様は、最後の仕事として、燃える松明を蛇のくくりつけられた木と藁に、ゆっくりと動かしていく。燃えていく中で、蛇の王様は、言う。「友人を作る方法は、王様をやめることだ」
 蛙の王様は、ひどく驚いた。王様は、生まれた時から王様だったから、そんなこと考えたこともなかったのだ。もし、王様じゃなくなったら、どうなるだろう。それから、蛙の王様は、密かに計画を練る。そっくりの影武者に命じて、王様の代わりに毎日の仕事を、やらせたのです。この影武者、なかなかに器用で、そつのない政治をする。王様は、安心して、街中に変装して、くりだします。
 王様は、何一つわからないので、物珍しく露店などを見ていると、生きのいい蛙たちが、やってくる。「イーハー!イーハー!今日は大仮装大会だ。踊れ!皆の衆。歌え!皆の衆」そうか、今日は仮装大会だったか。年に一度のお祭りだ。どれ、一つ、仮装してみるか。
 王様が、そう思って王宮に帰ると、影武者が、言うには、「良い衣装があります。是非、きていってください王様」そこで、王様は、着ていきます。すると、街の警察官に捕まってしまいます。「なるほど、王様のおっしゃったことは、確かだった。それにしても、王様にこんなに似た蛙がいるもんだな」王様は偽物として処刑されてしまう。

カエル

カエル

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • サスペンス
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-03-22

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