王道ラブコメなんて信じない17

休日出勤というのは平日の間にノルマが達成できなかった人がする
所謂、要領が悪い人のみがする行為だと思っていたが
ブラック企業では慢性的にソレが行われている
つまりうちの高校の生徒会もブラック企業である
そんな現実逃避をしている暇ではない
それにしても香坂総合高校は俺が通っている篠前高校の姉妹校になる。
眉唾レベルの噂だが、魔法使いを育成するとは聞いたことがあるが、そんなの話はホグワーツの世界だけだと思う。
そう思いたいしどこかの学園都市かよと言いたい。
だが、陰陽術は実在してるし使い手がここにいる。
そして魔法より長い歴史がある。
まぁ、陰陽術があるなら魔法も存在するんだろうな…。
そうやって自己完結しないと考えるのをやめなくちゃいけなくなる。
それにしても、この部活に入ってから土日にちゃんと休んだことって無いような気もする。
何かしらの用事で出かけるからのんびり寝ることもできない。
「はぁ、何で休日なのに休めないんだろうな。面倒だし帰るか」
香坂総合高校駅前に、早めに着きすぎた。
改札を抜けたら誰もいなかったのでまた改札の方に踵を返そうとしたら
「早めに来たのか。なら駅前の喫茶店に行くぞ」
背後から声がした。
「来てるならすぐに分かるところにいろよ」
井上に見つかり喫茶店に連行された。
あの学校には面倒な奴がいるからできるなら行きたくなかった…。
あの姉妹は面倒なんだよなぁ…。

喫茶店に入ると
「ヤッホー」
「随分嫌そうな顔してるな」
喫茶店には既に芹澤と富樫がいた。
集合時間の30分前なのにもういるのかよ。
早めに着いてそのままサボろうとしたのを見破られていたか…。
「予想通り駅に着いた途端に引き返そうとしてたぞ」
しれっとバラすな。
「海斗の行動くらい幼馴染の私が見破れないわけないでしょ?井上くんありがとうね」
「チョコレートパフェあるから食べろ」
席には完食したら速攻で糖尿病になりそうなパフェが置いてあった。
「タダ飯ほど美味いものはないな。しかもパフェ。
こいつを連れて来るだけでこんなに美味そうなの食えるなんて生徒会やってて良かった」
こいつの頭はお花畑じゃなくてクリームだらけってところか。
見てるだけで胃もたれしそうなのをハイスピードで食べている。
「いいよな、甘い物中毒者は」
「体に害がない程度に摂取してるからいいんだよ」
絶対害が出てそうだけど…。幸せそうに頬張ってるな。
あれか、人の不幸で飯が旨いってやつか…。ふざけるな。
「相変わらず仲いいねー」
「ただの会話が仲いいなら世界中が平和だよ」
「相変わらず捻くれてるな。とりあえず食べ終わったみたいだし行くぞ」
入店して2分も経っていないのにもう食べ終わってるし…。
化け物かよ…。
やはり生徒会は恐ろしいな…。

香坂総合高校は授業で魔法を扱うという今の時代となっては当たり前のことをしているだけだが
俺の学校では魔法を扱っていないが俺みたいに能力がある人もいるらしい
香坂総合高校の敷地に入ると黒や白のローブに三角帽を身に纏ってまるでファイナルファンタジーの黒魔導士や白魔導士みたいだ。
しかも、変な杖から炎やら雷を出してるし、本格的な魔法使いみたいだ。ここは本当に日本か?
「噂に聞いていたがここまで凄いのか」
井上も流石に驚いていた。まぁ、こんな世界は夢物語に過ぎないと普通なら思うだろう。
「じゃ、2人に別れて調査側と回収側に分かれるよ。井上くんと琴音ちゃんは調査側に回ってー」
ここでは分担作業か。
まぁ、4人で同じ作業をするほど無駄なことは無いからな。
妥当な判断だと思う。

鬱陶しい
それだけで分かるこの状況
芹澤が異様なくらいに近い
「海斗、もっと彼氏らしくしてないと怪しまれるよ?」
芹澤が腕を絡ませてきて学校見学に来たカップルみたいなことをしているが無駄じゃないか?
「元々怪しいぞ。そこの不審者。この学校の生徒でないのは分かってる」
予想通り背後から声をかけられた。
「君達ここがどこか分かるかな?普通科の人はきちゃダメなんだよ?」
振り返るとけだるそうな表情の眼鏡の男とチャラさ全開の茶髪の女がそこにいた
「この学校って魔法が使えればいいのか?」
そう問うと
「まぁな、お前らには無縁だろうけどな」
と明らかに人を見下したような言い方をしてきた
「俺は陰陽術を使えるんだがそれは魔法じゃないのか?」
「陰陽術?話には聞いたことはあるが使える人はもういないって聞いた?」
「変なハッタリかけたって君が魔法が使えないのはわかってるよ?」
案の定の反応だ
俺はブレザーの胸ポケットから一枚の札を出して詠唱した
「霊符『ポルターガイスト』」
そういうと周りに散乱していた枝がバキバキと音をたてはじめた
「は?」
「な、何で陰陽術を?」
戸惑っているようだから説明をするか…
「なぜか分からないけど俺の家系は昔から陰陽術が使えるらしい」
俺にはなんで使えるのか一切教えてくれないが
「なかなかやるようだな」
男の方もやる気になったらしい
首につけてるペンダントが光り出した
「その現代魔術で戦えるのか?」
「やってみれば分かるぞ」
「と、とりあえずやめておこうよー。ね?直輝?」
「海斗も落ち着いて?依頼はここの茶葉と魔法関係の道具を貰うことでしょ?」
2人が間に入って止めてきた
「あ、依頼で来た奴か…。それを先に言えよ」
「すっかり忘れてた。とりあえず生徒会室に案内してくれ」

王道ラブコメなんて信じない17

王道ラブコメなんて信じない17

偶然という名の必然により集まった捻くれ者とその仲間が起こす不思議な学園ストーリー

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-03-19

CC BY-NC-ND
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