togame

初めから失うことが
仕組まれていたみたいに
何でもない日々を互いが廻ていた

何処で誰が何をしていたって
それを知ることはないのに
覗き見た場所から
誰かが此方を向いていた気がしたんだ

言葉を呑んだ
聴かれることはないだろう
口にすることはないだろう

ハジメマシテ
この両目でたくさんを視てきた
意味や理由も関係無く
世界は無知なまま回るんだ
サヨウナラ
哀しませない為の優しさを
あまりに容易く
僕は告げようとしている

続けるには怠いと思うほど
簡単に慣れてしまうんだ
それは終わりから逃げているように

真面目にしても惚けていても
避けられることはないのに
認めてしまうことが
僕らには凄く残酷な気がしたんだ

心が聴いた
知る必要はないだろう
知られることはないだろう

ハジメマシテ
この鼓膜でたくさんを聞いてきた
期待や不安もいっそのこと
全てなくなってしまえばいいんだ
サヨウナラ
泣き出さない為の準備を
あまりに容易く
僕は始めようとしている

触れたら温かくて
心地が良くて
それが今でも
それでもいつか

イツマデモズット
今迄そんなマボロシを眺めていた
きっと終わりを知ってても
どうせ抱きしめていたと思うんだ
イツカハキット
投げ出さない為の愛しさを
ありのまま込めて
僕は終わらせようとしている

togame

togame

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-03-18

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