47の夢を乗せたアイドル
「アイドルになりたい」
どんな些細なキッカケでも、オーディションに応募してくる者がいます。
そして誰かに推されてステージで輝いていく。
これは、47人分の夢を乗せて出発したアイドルグループ「神楽坂47」のお話。
47が始まった日
2013年12月。
東京都は神楽坂の一角にある建物の前に置かれた看板。
「新時代男性アイドルプロジェクト 1期生オーディション会場」
具体的なグループ名などは明記されていない。
このオーディションは何もかもがゼロからのスタートなのだ。
そして今まさに最終審査の結果が発表されるところだ。
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すべての審査を終えた30人の受験生たち。
個々の胸には番号と名前が書かれた札。
審査を終えたその日に直接合否を言い渡すという、くっきりと明暗が分かれるシステムだ。
1万人近くに登った応募者の中から最後の最後まで勝ち抜いてきた30人。誰もが合格を目前にして手を伸ばしているはず。
ドアが開き、紙を持ったプロデューサーの「|伊達修氏」が入室すると、受験生たちの表情が一際硬くなる。
伊達
「皆さんお疲れ様でした」
伊達
「最終審査の合格者が出ましたので、ここで発表させていただきます。」
「番号と名前を呼ぶので、呼ばれた方は立ち上がってください。」
間髪入れずに発表が始まる。
極度の緊張からか、既に視線が定まらなかったり過呼吸気味になっている者も。
そんな彼らを一通り見回すと、伊達の口から合格者が発表されていく。
伊達
「8番。安斎真琴さん」
「4番。秋月翔さん」
「27番。藤堂一徹さん」
「16番。橋本圭介さん」
「11番。小林じゃむさん」
「24番。四条理都さん」
「21番。桐生宙太さん」
「19番。結城宗猿さん」
「3番。神志那ジョーさん」
「25番。みかみゆずるさん」
「12番。飛田キュウさん」
伊達
「以上。」
あっという間に全員の名前が呼ばれ、11名の合格者が発表された。
室内には喜怒哀楽、全ての感情が混ざり合った異様な空気が漂っている。
その重さに耐えかねたのか、泣き出すものも現れて。
19名が破れた夢を突きつけられ落胆する中、
11名の新人アイドル達は誰よりも真っ直ぐな目で伊達を見つめていたのだった。
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夢へのチケットを一番最初に獲得した11名は、
ビルの別階にある事務所に呼び出されていた。
伊達
「応募してくれてありがとう。君たちはこのグループの1期生として活躍してもらうよ^^」
全員
「ありがとうございます!」
伊達
「さて・・・」
「肝心な事を伝えていなかったよね?」
伊達
「君たちが結成することになるグループの名前。」
審査中は伝えられなかった、グループ名である。
プロジェクト名だけが看板に書かれ、
その全貌は謎に包まれていた今回のオーディション。
伊達
「神楽坂47(かぐらざかフォーティーセブン)。」
「47は素数だ。何人かで割り切れるようなグループにはしたくない。」
「割り切れないアイドルグループを、作っていこうじゃないか。」
グループ名は、神楽坂47。
割り切れないアイドルグループ。
新時代アイドルグループ改め、神楽坂47が今日から出発した。
47の夢を乗せたアイドル