浜辺

恋人よ、覚えているかい、

潮風が、唇に痛い程染みた、あの頃を

互いを確かめるように抱き合い、重なり合ったあの頃を、

砂は何度掬おうと、指からすり抜けてしまう、

ほんのすぐ足元まで迫った波は、すぐに引き返してしまう、

求めるばかりじゃ見つからなくて、応えるばかりじゃ伝わらなかった、

今は、それぞれ違う道を歩んでいる、

恋人よ、覚えているかい、

潮風が、唇に痛い程染みた、あの頃を。

浜辺

浜辺

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-03-17

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