黄昏時
黄金の粉がさらさらと満ちたまぶしい空に
たゆたう雲がやわらかく
乳白色にかがやいている
そうした光の差し込む部屋で
しずかにふたりは紅茶を飲んだ
かちゃり、かちゃりと 冷たい音が
ただ 沈黙を埋めていた
ひんやりしてきたそよ風に
なんとはなしに肩を並べて
ひとこと、ふたこと、
あること、ないこと
ぽつりと話して
微睡んで
そのままふたりは眠りに落ちる
彼らの顔は光に溶けて
輪郭ばかりが 寄り添っている
黄金の粉がさらさらと満ちたまぶしい空に
たゆたう雲がやわらかく
薄紫に色めいている
黄昏時
※さらさらと を行を分けて二回繰り返していたのですが、中原中也の「一つのメルヘン」とまったく同じことをしていたことに気付き、あまりの恥ずかしさと罪悪感に表現を書き換えました。中原中也の名を汚すようなことをしてしまい、大変申し訳ありませんでした。