化けてやろうか
母さん知ってる?お化けがいるよー。
この家、なんかいるよね?
ひとっ風呂浴びて、今日はコーラ飲むから同じことだと頭を拭きながら思い、歯を磨かなかった。
薬を飲んで、さあ寝ようと布団に入ると、下からガラガラガラッと風呂桶が落ちる音がし、パタンと戸を閉じる音までする。
ははぁ今日も出たかと、誰もいないはずの空間に思いを馳せる。
思えば引越し当初からおかしかった。
誰もいない部屋の電気は点いたり消えたりするし、スプーンは減るし、犬は何か見えないものと遊ぶし。
一度ふざけてカメラを向けたら、写っちゃったんだな、火の玉。
ばあちゃんが、年寄りの死んだ家は縁起がいいんだよーと言うから、小さい頃に見えないお友達のいた私も、まあ良いか、と流した。
化ける幽霊、化けて見よ。化けて出るなら、引き込んでやろう。
たまに帰ってくる父に話すと、こんなにかわいそうな家族が来て向こうもびっくりしてるやろ、とカラカラ笑った。煙草でむせた。
仮)爺さん、見守ってくれよと、今日も鼻歌一つ歌う。
明日も私は元気だろう。
化けてやろうか
半分ほんとです笑