いっしゅん旅行会社

文野志暢

ここはいっしゅん旅行会社です。
 いつでも好きな時間に一瞬で行ける旅行を売っています。
 今日もたくさんのお客さんを迎えるために店長のウィンクは大忙し。掃除に、パンフレットをきれい並べて、それからマシンの点検とお店の中を行ったり来たり。
 準備が終わると、外の看板をOPENにします。そしたらすぐにカランカランとお店のドアについているベルが鳴りました。

「いらっしゃいませ」

 ウィンクは元気よくお客さんにあいさつをしました。
 今日最初のお客さんは小さな女の子です。

「こんにちは。お花屋さんのお仕事が体験できる旅行はありますか」
「はいはいわかりました。お仕事体験ツアーのお花屋さんですね。少々お待ちください」

 ウィンクはそう言ってマシンのスイッチを押しました。
 マシンのボタンをピコピコピコ。ウィンクはいっしゅん旅行を作ります。
 それから「よいしょ」と言ってマシンのレバーを引くと、マシンがピカピカ光りだして、ガッシャンガッシャンと音をたてていっしゅん旅行を作り始めました。
 そうしてマシンから音が鳴らなくなると、いっしゅん旅行のチケットが出来上がり。

「お待たせしました。いっしゅん旅行お仕事体験ツアーお花屋さんのチケットです」

 ウィンクは、女の子にチケットを持って行きました。それはふわふわで花の形をして、ピンク色や黄色緑色で字が書かれています。

「うわあ、ありがとう」

 女の子はお礼を言い、ウィンクにお金を払ってお店を後にします。

「ありがとうございます。」

 ウィンクは女の子を見送りました。


 少し経ってからまた、カランカラーンとベルが鳴ります。

「いらっしゃいませ」

 ウィンクは元気よくあいさつしました。
 次のお客さんはおじいさんです。

「こんにちは、わしのこどもの頃の時代に行きたいんじゃ」
「はいはい、タイムトラベルツアー過去行きですね、少々お待ちください」

 ウィンクはそう言ってマシンのスイッチを押しました。
 マシンのボタンをピコピコピコ。ウィンクはいっしゅん旅行を作ります。
 それから「よいしょ」と言ってマシンのレバーを引くと、マシンがピカピカ光りだして、ガッシャンガッシャンと音をたてていっしゅん旅行を作り始めました。
 そうしてマシンから音が鳴らなくなると、いっしゅん旅行のチケットが出来上がり。

「お待たせしました。こちらがタイムトラベルツアー過去行きのチケットです」

 ウィンクはおじいさんにチケットを持ってきました。それは木で出来ていて家の形をしており、文字が灰色やベージュ色、朱色で書かれていました。

「おお、これはまさにあの時じゃ。ありがとう」

 おじいさんはお金を払い、お店を後にしました。

「ありがとうございます」

 ウィンクはおじいさんを見送りました。


 また少し時間が経つと今度は、バンと扉が開いたと同時にカランカランカランとベルが鳴り続けます。

「やった。僕が一番だ」
「待ってよ兄ちゃん」

 次のお客さんは、お店によく来る兄弟でした。
 いつもはお母さんと来ていますが、今日はその姿が見当たりません。

「おや、いらっしゃい。お母さんは一緒じゃないのかい?」
「二人で競争してきたんだ」
「お母さん遅いからおいてきちゃった」
「仕方ないな。二人とも競争してもいいけど、走ってお店に入るのは危ないから、今度はドアの前がゴールにしような」

 ウィンクは兄弟に注意をします。
 その後すぐに、カランカランとベルが鳴りドアが開きました。

「すみません」

「いらっしゃいませ、さて今日の旅行は何がよろしいですか?」

 ウィンクはお母さんと兄弟に聞きます。
 するとお兄ちゃんは「ロボットと友達になれる旅行」と、弟は「宝探しの冒険旅行」を、そしてお母さんは「家族で宇宙へ旅行」と「仕事体験で探偵」を言いました。

「はい、タイムトラベルツアー未来行きをお1つ、ふしぎ旅行が冒険ツアーと宇宙ツアーをお1つずつ、お仕事体験ツアーの探偵をお1つですね。少々お持ちください」
「探偵のチケットはプレゼントでお願いします」
「かしこまりました」

 ウィンクはそう言ってマシンのスイッチを押します。
 マシンのボタンをピコピコピコ。
それからウィンクが「よいしょ」と言ってマシンのレバーを引くと、マシンがピカピカと光りだし、ガッシャンガッシャンと音をたてていっしゅん旅行を作り始めます。多くのチケットを作るのでマシンは少し煙を出していました。
 最後の1枚ができるとマシンの音が鳴り止みます。

「お待たせしました。こちらがチケットです」

 ウィンクはお母さんと兄弟にチケットを持ってきました。
 未来行きのチケットは金属で出来てずっしりと重く、文字は全て焼き印で入れてあり、冒険ツアーのチケットは古い紙で出来ており文字が少し読みづらくなっています。また宇宙ツアーのチケットはロケットの形で文字が青や黄色で書かれており、お仕事体験ツアー探偵のチケットはノートを何枚も重ねた形で文字が小さく、ところどころ暗号になっていました。

「うわあ、すごいぞ」
「僕のもすごい」
「考えていたものと同じだわ、ありがとう」

 お母さんはお金を払い、兄弟もお店を後にしました。

「ありがとうございます」

 ウィンクは3人を見送りました。


 日が少しずつ沈み、もうすぐお店を閉じる時間。ウィンクはせっせと店の片付けをしていました。
 と、カランランとドアがそっと開きます。今日、最後のお客さんの男の人がやって来ました。

「おっと、いらっしゃいませ」

 ウィンクは驚きながらも挨拶をします。
 彼は急いで掃除道具をしまい、男の人に旅行の注文を聞きました。

「じゃあ魔法使いと勇者に会える旅行がしたいな」
「はい、ふしぎ旅行魔法ツアーですね。少々お待ちください」

 ウィンクはそう言ってマシンのスイッチを押しました。
 マシンのボタンをピコピコピコ。ウィンクはいっしゅん旅行を作ります。
 それから「よいしょ」と言ってマシンのレバーを引くと、マシンがピカピカ光りだして、ガッシャンガッシャンと音をたてていっしゅん旅行を作り始めました。
 そうしてマシンから音が鳴らなくなると、いっしゅん旅行のチケットが出来上がり。

「お待たさせしました。こちらがチケットです」

 ウィンクはチケットを男の人に渡しました。そのチケットは、剣と盾の形をして文字は金や銀、黒で書かれていました。
 男の人はチケットをみてくすくすと笑います。

「おもしろいね」
「そうですか」
「これは本当に旅行のチケットだ、しかも一瞬で行けるね」
「そのために作っていますから」

 ウィンクもニコリと笑いました。
 男の人は彼に聞きます。

「君は旅行が好きかい」
「はい」
「そうか」
「現実に行けるところは肌で感じ、行けないところは頭で感じればいいんです。そうすれば心が旅に出れます」

 ウィンクは静かに言いました。
 男の人はまた聞きます。

「君は本が好きかい」
「はい。私にとって本は旅行の一つですよ」
「そうか。君の作る旅行はおもしろいね」
「ありがとうございます」

 ウィンクがお礼を言うと、男の人はお金を払い店を後にしました。

「ありがとうございます」

 ウィンクは男の人を見送ります。
 それからお店の看板をCloseに切り替えました。


 ここはいっしゅん旅行会社。
 いつでも好きな時間に一瞬で行ける旅行を売っています。

 またのご来店お待ちしております。

いっしゅん旅行会社

あったらいいなと思った店を書きました。
マシンでは作れないけど、いろんな人にあった、旅行を渡したいです

いっしゅん旅行会社

一瞬でいける旅行を売る店の一日です 店長の名前はウィンク、彼は旅行がとても好きなんですよ

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