かき氷が降る山

文野志暢

夏の島は今日も暑いです。
お日さまがじりじりと島を照りつけています。

「ふぅ、今日も暑いなあ。こんな日はかき氷を食べよう」

オウムくんは近くのかき氷屋さんに行きました。

「すみませーん。イチゴのかき氷ひとつください!」

すると、店主のトラさんが店の奥からしょんぼりした顔で出てきます。

「ごめんよ。少しの間かき氷屋はお休みだ」
「なんだって!」

オウムくんはトラさんの言葉にびっくり!
あわててそのわけを聞ました。

「どうしてかき氷屋がお休みしなきゃいけないの?」
「かき氷に使う氷がもう無いからさ。最近たくさん売れているからなぁ」

と、トラさんは困った顔をして言います。
そこへ、ザリガニくんとサルちゃんがかき氷を買いにきました。

「おじさん! メロンのかき氷といちごのかき氷ください!」
「ごめんよ、かき氷は売り切れだ」
「えっ、そんなあ。トラさんのお店にもないの?」
「すまないねぇ。次に渡り鳥さんが氷を届けてくれるのはまだ先なんだ」
「うわーん! かき氷食べたいよー」

とうとうサルちゃんは泣いてしまいました。
ザリガニくんもサルちゃんと同じようにかき氷が食べたいよと言います。

そうだ!
オウムくんはいいことを思いつきました。

「サルちゃん泣かないで。トラさん、ぼくが氷を取りに行くよ!」
「本当かい? 冬の山はとっても遠いんだよ」
「大丈夫! ぼくはもう一人前のオウムだもん! ふくろう先生に道聞いてくるね。バイバーイ」

オウムくんはかき氷屋さんを後にして、ふくろう先生の家へと向かいます。

******

ふくろう先生は夏の島で一番の物知りです。
今日も家の中でなにやら実験しています。

「フォッフォッフォ。後はこの液を混ぜれば完成じゃ」

ふくろう先生はそっと、そおっと赤色の液をたらします。

ドンガラガッシャン

突然、ふくろう先生の家に向かってオウム君が飛び込んできました。
あまりにも大きい音だったので、ふくろう先生はびっくりしてしまい、持っていたびんを落としてしまいます。

「ホーッ、なんじゃ今の音は? ハッ! やってしまった! せっかくの材料を落としてしまった」
「イテテテ、こんにちは先生。ねえ冬の山ってどこにあるの?」
「オウムくん。君は何故いつもいつも静かにできないんじゃ! あぁせっかくの実験が失敗してしまったではないか!」

と、ふくろう先生はオウム君に怒りました。
オウムくんは自分が悪い事に気づき、ごめんなさいと言います。

その後、ふくろう先生はお茶をオウム君に渡しました。

「まぁいい。冬の山じゃったか? あそこはとても遠いから、おまえさんじゃ無理だ」
「なんで? ぼくは行きたいんだ!」
「まず、冬の山はここからずっと先にある秋の谷を、さらに行ったところにあるんじゃ」

ふくろう先生は、冬の山がどれだけ遠いか教えてくれました。
けれどもオウムくんは、トラさんとサルちゃんとザリガニくんのためにも氷を取りに行きたいのです。

「そんなのへっちゃらだい! どんなに遠いところだってぼくは行くんだ!」

オウムくんは真っ直ぐな目でふくろう先生をみます。そんなオウムくんの決意に負けて、ふくろう先生は、棚から一枚の紙を取り出しました。

「ほれ、冬の山までの地図じゃよ。冬の山にはな『雪』という氷が降る日があるらしいから気をつけていくんじゃよ」
「先生ありがとう。ぼく行ってくるよ!」

オウムくんは地図をもらうと急いで家に帰りました。



オウム君は家に帰ると、お気に入りのかばんをみつけ、早速準備にとりかかります。

「地図はここにいれて、後はハンカチ、ティッシュにお弁当。よし財布も入れたぞ!」

早速、オウムくんはかばんを持って旅に出ようとしますが、ドアの前で立ち止まります。

「ふくろう先生、冬の山には氷が降るって言ってよね。夏の島に持ってこれないくらいあるのかな? よーし!」

オウムくんは何やら思いつき、急いでキッチンに向かいました。

「ちょっとくらい食べても大丈夫だよね! いちごのシロップとお皿を持って行こう」

オウム君は、それらを大事にかばんにしまって、今度こそドアを開け出発しました。

******

オウムくんは、きれいな青空と真っ青な海の中を飛んでいます。
飛んでいくスピードが早いので、どんどん、どんどん夏の島から離れていきました。

「わあ、夏の島が小さく見えるぞ。よし、このまま冬の山までひとっ飛びだ!」

オウムくんは、くるんと一回転し、スピードを上げていきます。
そこへ、イルカの一家が通り過ぎました。

「おや、見かけない顔だね」

お父さんイルカは言いました。
オウムくんは笑顔で挨拶します。

「こんにちは! ぼく、夏の島から来たんだ」
「それはすごいな 秋の谷に用事でもあるのかい?」
「ううん、これから冬の山に行くところだよ」

お父さんイルカはオウムくんの行き先を聞いてびっくりしました。
お母さんイルカも心配して言います。

「冬の山まで? ひとりでそんな遠くまで行くの? 危ないわ」
「そんなのへっちゃらだい! ぼくは氷を取りに行かなきゃいけないんだ」

オウムくんは元気よく、お母さんイルカに言いました。
そんなオウムくんを見たお父さんイルカは、あることを教えてくれます。

「それじゃあ、一度秋の谷に行くべきだ。冬の山はとても寒いらしいから、毛糸の帽子と毛糸のマフラーを買うべきだ」
「毛糸の帽子と毛糸のマフラーってなに?」

オウムくんは、毛糸の帽子と毛糸マフラーが、どんなものかわかりませんでした。
そうしたら、こどもイルカが言いました。

「毛糸はね暖かいんだよ。冬の山はとってもとっても寒いって渡り鳥さんが言ってたの」
「そうなんだ! じゃあ秋の谷に行ってみるよ。ありがとう」

オウムくんは、イルカ一家にお礼を言って秋の谷に行ってみることにしました。

******

オウムくんがしばらく飛んでいると、地上が赤や黄色で鮮やかでした。
よく見ると『ようこそ 秋の谷』と書いてある看板が見えます。

「わーい! 秋の谷に着いたぞ。」

オウムくんは早速、バサバサと羽を羽ばたかせ、地上に降りようとしました。
しかし、あまりにもスピードを出しすぎていたので、地上に降りたところで転けてしまいました。

「イテテテ、また失敗しちゃった。よし! 帽子とマフラーを買うぞ」

オウムくんは身体についた砂をはらって町を見渡します。
空から見えた赤や黄色は見たことのない木の葉っぱでした。

ひゅううううう

風がふき、葉っぱは青空の中をまるでダンスしているように飛びました。

「うわー、きれいだなあ」

びゅううううう

今度は冷たい風がふき、たくさんの葉っぱが木から落ちてきます。
オウムくんは風の冷たさにびっくりして、急いで帽子の絵が描いてあるお店に急いで入りました。
店の中には、たくさんのいろいろな形の帽子がありました。

「いらっしゃいませ」

オウムくんの前には、店主のひつじさんが立っています。
オウムくんは、イルカ父さんに教えてもらった物を頼みました。

「あっ、毛糸の帽子とマフラーをください」
「はいよ、何色にするんだい?」
「青色がいいです」

オウムくんが答えると、ひつじさんは棚から青色のマフラーと帽子をだしました。
オウムくんはお金を払って帽子をかぶります。
その帽子はとてもチクチクしてふしぎなさわり心地でした。
しかしオウムくんは、マフラーを初めて見たので使い方がわかりません。

「あの」
「なんだい?」
「マフラーってどうやって使うんです?か」
「おまえさん、使い方も知らないのに買ったのかい?」

ひつじさんはオウムくんの言葉にびっくりしました。

「ぼく、夏の島から来てて、これから冬の山に氷を取りに行くんです。その途中で、毛糸の帽子とマフラーを買うといいって聞いたけどマフラーが何か知らなかったんです」
「夏の島からだと。まあまあ、そうだったのかい。ちょっと待ってな」

ひつじさんはそう言って、カウンターから出てくると、オウムくんの首にマフラーを巻きました。

「こんな感じで巻けばいい」
「なんだか、ふしぎな感じだ。おじさんありがとう!」

オウムくんは、ひつじさんにお礼を言って、帽子屋を出ました。


びゅううううう

さっそく、冷たい風が吹いてきます。
けれども、オウムくんは寒くありません。

「わあ! とっても暖かいや。よし! 冬の山までひとっ飛びだ!」

バサ バサ バサッ

オウムくんは羽を羽ばたかせて秋の谷を出発しました。

******

ビューン ビューンとオウムくんは空を飛びます。
風は少し冷たいですが、オウムくんは毛糸の帽子とマフラーをつけているのでへっちゃらです。
すると、オウムくんの目の前には黒い雲が見えてきました。
今にも雨が降りそうです。

「急がないと! この道を通り抜ければ、あと少しで冬の山にたどり着くんだ!」

オウムくんは飛ぶスピードを早めて、びゅんびゅんと先へ進んで行きます。
しばらくすると、空から白い粉が降ってきました。

「うわっ! なんだこれ! 空から変なものが降ってきた!」

白い粉は、オウムくんの身体につくと無くなります。ですが、白い粉が当たった身体の部分は、とても冷たかったのです。
黒い雲から、ちらちらとその白い粉は降ってきます。まるで氷の雨のようでした。

「寒いよー。冷たいよー」

オウムくんの身体はとても冷たくなってきました。飛ぶ力もだんだん弱くなっていきます。

突然、とても強い風がびゅうううううと吹きました。

「うわあああああああ」

大変です!
オウムくんは風に飛ばされくるくると地上へ落ちていきます。

******

地上では、うさぎちゃんは雪の中、大急ぎで家に向かっていました。
すると、空から何かが落ちてきます。

「何よあれ? あっ、あっちの方に落ちたわ。行ってみよう」

うさぎちゃんは何かが落ちたところへ向かいました。
そこには鮮やかな鳥が倒れていました。

「大変! 身体が冷たいわ、早く家で温めてあげないと」

うさぎちゃんは鳥を抱えて家へ帰ります。
雪はまだ止みそうにないです。



パチパチ パチパチ
暖炉の火が燃える音が家の中で響きます。

「うううっ、ここは?」

オウムくんは目が覚めると、知らない家にいました。
キョロキョロと周りを見ても誰もいません。

ぎぃぃぃぃ パタン

部屋の扉が開いて、うさぎちゃんがやって来ました。

「目が覚めたのね!」
「あの、ここは?」
「ここは私の家よ。私はうさぎ」
「助けてくれてありがとう。ぼくはオウム。冬の山に行きたいんだけど、ここから遠い?」
「ここが冬の山よ。オウムくんはどこから着たの?」
「本当! よかった。やっと着いたんだ。ぼく夏の島から氷を取りにきたの」

オウムくんは冬の山にたどり着いたことに大喜び。飛び跳ねて外に出ようとします。
うさぎちゃんは慌ててオウムくんを止めに入ります。

「待って! 外は雪が降ってるの」
「えっ」

びゅうううう

玄関を開けると、雪が部屋の中に入ってきます。
オウムくんはびっくりして玄関を閉めます。

「これが雪?」
「そうだよ、雪見たことないの?」
「さっき飛んでる時に見たのが初めてだよ」
「そうだったんだね。そうだこれ食べて温まるよ」

そう言って、うさぎちゃんは熱々のスープをテーブルにだしました。
オウムくんはスープで温まると、うさぎちゃんに氷をどこで手に入るか聞きました。

「氷はどこにあるの?」
「しろくま村長さんならわかるはず。明日聞き行きましょう」
「ありがとう!」

******

次の日、外がとても眩しくて早く起きたオウムくん。

「あっ、そうだ! 冬の山にきたんだ。でも、どうしてこんなに外が明るいんだ?」

オウムくんは外の明るさが気になってうさぎちゃんを起こさないように、そっと外に出てみました。
空はきれいな青空で、地面は一面真っ白でした。

「眩しい! でも地面がかき氷になってるぞ! お皿とシロップ持ってこよう」

オウムくんは、カバンからかき氷用のお皿といちごのシロップを取り出して、スプーンで雪を集めます。
そこへ、うさぎちゃんが起きてきます。

「おはよう、オウムくんは何をやってるの?」
「おはよう、うさぎちゃん。雪ってかき氷に似てるから食べてみようと思ったんだ」
「雪は食べ物じゃないよ?」

と、うさぎちゃんは言いました。
オウムくんはしょんぼりして、手に持っていたいちごのシロップを片付けて、お皿の中の雪も捨てました。

「そんなに悲しい顔しないで! 早く、しろくま村長さんのところに行きましょ」

後で、雪遊び教えるわ、うさぎちゃんは言いました。

******

早速、2人はしろくま村長の家に向かいます。
途中、オウムくんが雪に足を取られて転けるわ、見たことのない雪景色に興味をもってあっちにふらふらこんっちにふらふら。その度にうさぎちゃんはオウムくんを引っ張って先に進みます。

「早く行かないと、オウムくん家に帰れなくなるわよ」
「ごめんなさい」

話していると、やっとしろくま村長の家に着きました。
うさぎちゃんがドアを叩いて声をかけました。

「ごめんくださーい」
「開いてるから入っておいで」

うさぎちゃんとオウムくんは家の中からの声に答えて中に入りました。
家の中ではしろくま村長が机に向かって何やら書いています。
扉の側には部下のペンギンさんもいます。

「しろくま村長さん、こんにちは」
「こんにちは、うさぎちゃん。そちらの方は?」
「はじめまして、ぼくオウムです。夏の島から来ました」
「夏の島だと!」

しろくま村長は驚いて大きな声を出しました。
オウムくんは、そんなしろくま村長の声にびっくりします。

「おお、すまんなあ。オウムくん長旅お疲れ様。冬の山には旅行かい?」
「いえ、いつも渡り鳥さんに運んでもらっている氷が無くなっちゃったんです」
「おお、そうだったのか。今すぐ渡り鳥急便に頼むとするか」
「ありがとうございます」

しろくま村長は早速ペンギンさんに渡り鳥さんを呼ぶように言います。
しばらくすると扉が思い切り開き、渡り鳥さんがやって来ました。

「まいどー。こちら渡り鳥急便です!」
「いつもすまんなあ。悪いんだが、夏の島に氷を運んで欲しいんだ」
「わかりましたー」

そういうと、嵐のように渡り鳥さんは去りました。

「さて、オウムくん。せっかくだから冬の山を楽しんでいってくれ」
「ありがとうございます」

そう言って、オウムくんとうさぎちゃんは、しろくま村長の家を後にします。



しろくま村長の家から少し歩いたところに、広場がありました。
広場には、おおかみくんと雪ひょうくんが遊んでました。

「おーい、うさぎちゃん。そいつ誰だ?」
「あっ、おおかみくん。この子はオウムくんよ。夏の島から来たの」
「夏の島からだって。すっげー」

雪ひょうくんが目をキラキラさせて、オウムくんを見ています。
ただし、オウムくんは初めて見る雪だるまに興味津々。

「うさぎちゃん、これは何?」
「これは雪だるまよ。せっかくだから作ってみよう!」
「うん! やってみたい」

オウムくん達は、雪だるまを作り始めます。

えっさ えっさ

オウムくんとうさぎちゃんは、雪だまを転がして大きくしています。

よいしょよいしょ

おおかみくんと雪ひょうくんは雪だるまの飾り付けを集めています。

「せーの」

おおかみくんと雪ひょうくんが大きな雪だまに、少し小さな雪だまをのせました。
それから、みんなで雪だるまの顔と手をつけます。

「できた!」

雪だるまはみんなが力を合わせたので完成しました。みんな大喜び。
それから、4人で雪合戦をして遊ぶことにしました。
オウムくんは雪ひょうくんとチームを組んで、おおかみくんとうさぎちゃんチームと対戦です。

「負けないぞ!」
「こっちこそ負けないわ!」

オウムくんはたくさん雪だまを投げていると、作り方がいびつだった雪だまも、きれいな球になっていきます。
勝ち負けはつきませんでしたが、4人は楽しみました。

「あー楽しかった。雪っておもしろいね」

オウムくんは言いました。
みんなニコニコ笑顔です。そこへ、ペンギンさんがやってきました。

「大変、大変」
「こんにちは、ペンギンさん。どうしたの?」
「おお! オウムくんはここにいたのか。今夜からしばらく大雪の予報がでたからな、今帰らないと当分帰れなくなるぞ」

ペンギンさんは言いました。
すると、うさぎちゃんもおおかみくんも雪ひょうくんも、悲しい顔をしました。

「まだ遊ぼうよ」
「だめよ、オウムくんは夏の島に帰らないと」
「ごめんね。今度は夏の島に遊びにおいでよ!」
「それまでコイツを持って行けよ」

おおかみくんは、小さな雪だるまをオウムくんに渡しました。
オウムくんはそれを、そっとカバンの中にある、お皿に乗せてしまいます。

「帰りは、秋の谷を通るより春の丘から行くといいぞ」
「ペンギンさん、教えてくれてありがとう。うさぎちゃん、おおかみくん、雪ひょうくん遊んでくれてありがとう! また遊ぼうね」

オウムくんはそう言って、冬の山を後にしました。

*****

びゅーんびゅーん
オウムくんは冬の山をでて、春の丘を目指します。
あんなに寒かった風も、春の丘に近づくにつれて、弱くなっていきました。
春の丘に着く頃には、毛糸の帽子も毛糸のマフラーもいらないくらいの暖かさになります。

「よっと!」

オウムくんは春の丘に上手に降り立つと休憩をとることにしました。
春の丘には、色とりどりの花が咲いています。

「きれいだなー」

オウムくんは花を見ながら、座ろうとしますが、

「おい! そこのお前」

どこからかオウムくんを呼ぶ声がしました。
オウムくんは辺りをきょろきょろと見ますが、声の主が見つかりません。

「ここだよ! ここ」
「えっ?」

オウムくんが花の側を見るとそこには、ちょうちょくんがいました。

「よくも、オレを潰そうとしたな?」
「ごめんなさい!」

オウムくんは慌てて一歩後ろに下がり、ちょうちょくんに目線をあわせました。

「全く、大変な目にあったぜ」
「さっきはごめんなさい」
「いいってことよ。それよりお前見かけない顔だな。どこから着たんだ?」
「夏の島からだよ。でもさっきまで冬の山にいたんだ」

オウムくんがそう言うと、ちょうちょくんはとってもびっくりします。
なぜなら、夏の島から冬の山を超えて春の丘に来るのは、渡り鳥さんだけでした。

「そいつはすごい。急いでいなければ春の丘も楽しんでいってくれ」
「ありがとう、でも、みんな待っているからもう行かないと!」
「そうか、気をつけてな」
「うん!」

オウムくんはちょうちょくんにお礼を言って羽をバタバタとさせ空へと上がりました。

******

春の丘をすぎると一面、青い海が広がります。
夏の島まで後少し。

くるん くるん

オウムくんは何度も一回転をして夏の島を目指します。

「あっ、夏の島が見えてきた!」

しばらくすると、夏の島が見えてきました。

びゅーん
オウムくんは、どんどんどんどんスピードを出して夏の島へ向かいます。
浜辺にいたザリガニくんとサルちゃんも、オウムくんのことに気が付きます。

「オウムくんだ!」
「本当、オウムくんだ」

オウムくんは、浜辺にゆっくりと着地をしました。

「ただいま!」
「お帰り、オウムくん」
「氷は届いてる?」
「うん! あっ、ふくろう先生だ」

3人のところへ、ふくろう先生がやって来ます。

「オウムくん、無事だったのか!」
「ただいま!」
「全く、渡り鳥さんが届いたのはいいが、君がなかなか帰ってこなくて心配したぞ」
「雪が面白くて遊んでたんだ」

オウムくんは小さい声で言いました。
それを聞いたふくろう先生は呆れて、ザリガニくんとサルちゃんは笑っています。

*****

それから、オウムくんは、ザリガニくんとサルちゃんとかき氷屋さんに向かいました。

「トラさん、いちごのかき氷一つください!」
「やあオウムくん、おかえりなさい。助かった、氷をありがとう」

トラさんは、ひょいひょいといちごのかき氷を作ってオウムくんに渡します。
オウムくんは勢いよくかき氷を食べて、頭をおさえます。

「やっぱりこれだなー」
「ねえオウムくん。冬の山ってどういうところだったの?」
「とっても寒いけど面白いところだよ。そうだ!雪を持って帰ってきたんだ」

オウムくんはそう言うと、かき氷を机において、カバンに入れた雪だるまを取り出します。

「これが雪だよ!」
「これが雪?シロップのかかっていない、かき氷が溶けてるみたいだ」

持ってきた雪だるまは、溶けてドロドロになっていました。
オウムくんもびっくりして言います。

「やっぱり、雪ってかき氷だったのか」
「えぇ!」
「雪が積もったのを見たら一面かき氷だったんだよ。食べれないって言われたけどやっぱりかき氷だよね」
「すごい! 冬の山はかき氷が降るんだ」

すごいすごいと、3人は雪を見ながらかき氷を食べました。

かき氷が降る山

かき氷に使う氷を取りに行くだけで大冒険してしまった。
かき氷が食べたくなったなー

かき氷が降る山

夏の島に住んでいる、オウムくん。 お日さまがジリジリと照りつけたある日のこと、かき氷に使う氷がなくなってしまいました。

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