真夜中のお祭り

文野志暢

いつもと変わらない夜。

男も女も、
大人も子どもも、
犬も猫も、
生きている全てのものが眠りにつく時間がやってきました。


ガサッ、
ガサガサッ。

おや?

この町にはまだ眠りにつかないものがいたようです。

少し覗いてみましょう。


ガサッ。

覗いた先にあったものは…、

『イキモノ』ではありませんでした。


それは使い古された鞄でした。

その他にも
壊されたおもちゃ、
薄汚れた洋服、
薄っすらと存在する羽のはえた子供、
額に角がはえている馬、
きれいな女性、
昔の服装の男性、
鬼や河童がいます。

そしてこの町には、
よく見ると同じ、『イキモノ』ではないモノ達の列がたくさんありました。


彼らは、皆同じ場所を目指して歩いています。

何時しか、始めに見つけた鞄の列も他の『イキモノ』ではないモノ達の列と一緒になり、巨大な列に紛れてしまいました。


彼らが目指していたのはこの町で一番大きな山の頂上でした。


この山の頂上にはとても大きな楠があります。


楠の周りを囲むように、
たくさんの洋服やぬいぐるみに靴、
尻尾がたくさんある狐と猫、亀や鶴、
牛の上半身と人の下半身を持つもの等
不思議なイキモノがいます。


と、突然、空からたくさんの流れ星が降ってきました。

きらきら、しゃーん

まばゆい光、勢いよく降ってくる星。

彼らは待っています。

すると、今迄で一番まばゆく光っている流れ星が楠の上に落ちました。

楠は流れ星が落ちたことで、キラキラと光っています。



どこからか、お囃子の音が聞こえ出しました。


さぁ、感謝の祭りの始まりです。

彼らは楠の周りを回りだし歌います。


《 私たちを信じてくれてありがとう

存在することしかできないが、

あなたへ感謝の祭りを捧げよう


こんなに使ってくれてありがとう

信じてくれてありがとう

覚えていてくれてありがとう



私たちは存在している

目に見えなくとも 音が聞こえなくとも

君に言葉をかけることができなくとも

「ありがとう」を伝えたい

決して交わることがないけれど

私はあなたのそばにいるよ 》



もうすぐ夜が明けます。

彼らはここにいることができなくなります。

もといた場所へ帰らねばなりません。

皆、思い思いに帰っていきました。


真夜中のお祭り

それは存在することしかできないもの達のお祭りでした。

真夜中のお祭り

真夜中のお祭り

生きているものが寝静まったころ、ある場所でお祭りが行われていました。 本文編集

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