家を継ぐ者。

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野口英世があの世で徳川家康と対面した!さてどうなる?

 家を継ぐ者。 中村新一(ぺんねーむ)

その1。

 野口英世が死んであの世にいきました。どういうわけか、閻魔大王の代わりに徳川家康が出迎えました。

「お前は農家の長男でありながら、農業を嫌って医師になったな? 不逞の輩め!
なんて悪い奴だ!許さん!」
「御言葉を返すようですが、私は伝染病に苦しむ人たちを救うために、最大限の努力をしました」 (注、その割には成果が少なかった。作者の声)
「黙れ、黙れ、黙れい、親の後を継がぬものは、死刑じゃ!」
「もう死んでいます」
「地獄に行け」

そして野口英世は、何も悪いことをしていないのに、地獄に落ちていきました。
血の池地獄、針山地獄、飢鬼道地獄、その他もろもろ。
ふと見ると、そこにはお釈迦様と本物の閻魔大王が地獄で苦しんでいました。
「何故?何故?あなたのような立派な御方が地獄に落ちたのですか?」
お釈迦様は涙ながらに答えました。

「仏教国の日本にカースト並みの身分制度を作ったのはけしからんと、咎めたのだがね、
家康は我々を地獄に追放し、自分が死後の世界の支配者になったのだよ」
(はいここで、読者はどっと笑う)

その2。

野口英世が死んで80年後、とある有名な変質者が処刑されて地獄に落ちてきました。
(日本人なら知らぬ者のいない、超有名人だが、あえて実名は伏せる)
お釈迦様は言いました。
「子供を4人も殺すのは、弁解の余地は無い!地獄こそお前の終の棲家に相応しい!」
変質者は答えました。
「僕が人を殺したのは問題ではありません、印刷業者の跡取り息子でありながら、警察沙汰を起こして、家業を継がなかったのが、最大の罪科だと、家康に言われました」
(はいここで、読者はどっとわらう)

 その3。
発展途上国の独裁者たちが相次いで亡くなり、徳川家康の前に立たされました。
いずれも、自称大統領、自称主席、自称書記長、暴虐と専横の限りを尽くした鬼畜でした。
「お主たちは全員無罪! 極楽浄土に入れてやる」
独裁者たちは歓喜しました。
「これだけの悪事を働いたのに、無罪放免とは、あなた様は慈悲深い」
「お前達が何をしようが関係ない。国家を私物化し、子供や血縁者に家督を継がせれば総ての罪は許されるのだ」
地獄の鬼が家康にチクリました。
「家康様、ここに長男をさておいて、三男坊に家督を継がせた罰当たりがいますよ?」
(さあ?いったい誰でしょう?)
「なんて悪い奴だ。こいつだけは有罪!地獄に直行!」
(はいここで、読者はどっと笑う)

THE、END。」


PS、4年ぶりの投稿です。 
これが面白かったら、旧作の『卒業試験』『アトランテイスの王女、四部作』にもアクセスしてください。『アトランテイスの王女』を、マンガの編集者にマンガの原作として、薦めてみてください。 どうかよろしく。

家を継ぐ者。

家を継ぐ者。

日本人なら誰でも知っている、偉人があの世でご対面。さてどうなる?

  • 小説
  • 掌編
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-03-12

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