紙ふうせん

『紙ふうせん』

 紙ふうせんが、ふたつ
 あなたが作ったのと
 わたしが作ったのと

 折り目正しい、あなたのふうせんと
 どこかぎこちない、わたしのものと

 窓辺にちんまり、ふたつ、転がっている

 やわらかそうな影がその上に掛かっていた
 端のぼやけた影だった
 
 まぶし過ぎる日差しの、その下で
 あれは爆弾なんだよ、ってあなたは笑った
 わたしには何のことだかわからなかった

 あなたは話した
 
 あれの中には、僕たちの色んなものが詰まっている
 だからもし壊れてしまったなら、
 僕たちは、
 ひとたまりもないんだよ、と

 紙ふうせんは静かに、窓辺に佇んでいました

 私はあなたを抱きしめて、目を瞑った
 あなたはそっとそんな私の背中を撫でた

 紙ふうせんの弾ける日は
 きっと永久に訪れない

 それだけが、私の祈り

紙ふうせん

紙ふうせん

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-03-11

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