空の空

歌人・工藤吉生(くどうよしお)

夕闇に吊り包帯の三角の腕の白さが近づいてくる


空(くう)の空、すべては空と考えるような体調だった半日


よそ見して顔にぶつけた電柱のいやに確かで五十嵐内科


行きつけのつぶれた後にできた店 オレはあくまで認めぬ構え


二人とも黒いコードを鞄から出してほどいて電車の他人

空の空