小さな幸せ。

西木眼鏡

短編小説です。

 私は朝起きてまず庭に出る。小さな家族であり、また友達でもある彼らのあいさつをするためだ。
 まだ日が昇ってすぐの六時くらい、三月の風は暖かいようでまだ冷たい。私の気配に気が付いたようで、小さな友達が庭の隅にある植木の下から現れる。白、黒、茶色と白の三匹、それぞれ個性があって私は好きだ。
「おはよう、みんな」
 そういうと私のあいさつに応えるように、まず一番人懐っこい黒い子が足元まで寄ってきて身体をこすりつける。次に茶色と白い子は少し様子を伺ってから、黒い子に続いて同じように小さな体を寄せる。最後に白い子は警戒心が強いのか、私が体制を低くするまでは決して近づいてこない。そうかと思うと一番甘えてくるのはこの子だったりする。
 初めての出会いは、私がまだ高校生の頃、駅から家までの道で鳴き声のする段ボールを見つけたことに由来する。その日はたまたま雨も降っていて、このままでは彼らが風邪をひいてしまうだろうと思って迷わず家に連れて帰った。すぐにミルクを与え、元気が戻ってくるのを見て喜ぶのもつかの間、いつ両親に打ち明けるべきか迷った。迷った挙句に私は、彼らを家族として迎え入れるために、その日の夕食で両親に打ち明けた。今後は庭で飼うことを条件に許しを得て、彼らは無事家族の一員になった。
 いつも通り朝の挨拶が終わって、日の光が地面を照らし始めるころようやく朝ごはんとなる。おこづかいを切り崩してご飯を買っているので、それほど豪華な食事ではないが今までに欠かしたことがない。お皿に小盛のフードを置くとすぐに三匹が集まって、嬉しそうに食べ始める。隣に水を置いてやると適度に水分を取りながら朝食を摂るのだ。
 彼らの成長を見守ることが私の小さな幸せである。

小さな幸せ。

小さな幸せ。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
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