世界の穴

世界は欠陥だらけである。

私は夢で何でもできる。富を得ることも、慎ましい生活を送ることも。
勿論、人を殺すことだって。

ある日こんな話しを耳にした。
「あそこのわんちゃん。虐待を受けているらしいわよ」
「ぇえ!ほんとに!?」
「ぇえ、ほんとほんと。夜になると犬が悲鳴みたいな声だして鳴いてるのよ」
「怖いわねぇ~」
と、まぁこんな感じの内容だ。
所詮そんな酷い話しが身近にあるにもかかわらず、人間は他人事。
皆巻き込まれるのが怖いんだ。
でも、
「私は違う」


その夜、虐待を受けている犬が居る近辺を歩くと
「ギャン!ギャン!」
激しく鳴く犬の声が聞こえた。
私は気になって家の裏側へ回り込み、様子を伺うと、
そこには拳を振り上げて犬に襲い掛かる中年の男と耳を伏せてうずくまる犬の姿があった。
「外道だな。」
もはやその言葉もふさわしくないくらい。
そんなやつはしねばいいのだ。
「死んじゃえよオッサン」ぼそっと言った声がきこえてか聞こえずが、
オッサンはこちらを向いた
「やっば」
目があったのだ。
「おい、何だおまえはぁぁあ!!」
あ、大丈夫だ。私の存在に気付いたその犬が悲しい眼を向けたからだとおもった。
「ごめんオッサン煩いよ、今何時だと思ってんの」
「ヴぉぉお??!黙れがきがぁ、こっちは今日一日のストレスぅを発散させてんのによぉ」
「別に人の発散方法にとやかくは言わないけどさ、うっせぇんだよ」
「ぉおん?お前もなぐられたいんかぁ??へへっいーよ来いよぉ殴ってやんよぉ」
ぶっ、あーあ、
「あんた死刑確実ね、」
「何のことー「死んじゃえ」」


ブチッ



あーあ、死んじゃった。まぁ、
「仕方ないか」
お前はどうする?
「私と一緒にくる?」
ぷるぷるとふるえるその犬に私は手を差し出した。
恐る恐る近づいてくるその犬の手を取って家路につく。


「あーあ、今日も嫌な夢だったなぁ」





検索:連続殺人
今月中旬から約一週間の間、謎の連続殺人が発生している。その被害者は皆、動物虐待や強盗、薬の密売等を行っている悪人でも有ることが判明した。
殺人現場に防犯カメラはあるものの、そこに写っているものはすべて被害者が突然誰かとはなしだし、血飛沫をあげて死ぬ、というもよであるのが最大の謎である。事件はまだ解決していない。

世界の穴

世界の穴

なんかこわいのできた。

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-02-28

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