死んだはずなのに

同性愛のような表現を含んでいます。また、初心者故に二番煎じや、他作品に似たような話になっているかもしれません。
誤字や表現についてのご指摘はしていただけると光栄です。
私事ですみません。

どうして生きてるんだろうか



死んだ筈なのに


笑えない


生きてるなんて笑えない


さっき家族に見守られながら死んだでしょう?


なんで、また生を受けているんですか?



藤島 津軽 男
享受47歳 肺癌で死亡
一介のサラリーマンで、妻と3人の子供に恵まれていた。
T-18に生まれる

T-18
産まれて間もない頃、両親に収容所へと売られる。
左耳に月白のピアスをしている。
収容所から逃げ出したい。そのために、毎日生きている。

T-19
物心ついた時から収容所にいる。
ストロベリーブロンドの髪を持つ少年。
T-18と一緒に収容所を抜け出すのが夢。




_______また、1日が始まった。



ここ、収容所では同年代の子供たちが、日々強くなるために努力していた。


こう言うと聞こえはいい。


実際は、大人たちの争いのための兵器として、子供たちを殺し合いさせている。

子供たちは死にたくないと、他の者たちを倒す。


[弱肉強食]ふと、前世で学んだ知識が頭によぎった。


確かにそうだ。ここは弱肉強食の世界。弱ければ死ぬ。死にたく無ければ強くなるしかない。ここにいる誰よりも。

今いる場所は子供たちが戦う場所。
ここには40人程の子供たちが、手ぶらで立っている。
皆、正気の無い目をしている。

部屋はドーム型で、直径1kmはあるだろう。
壁には麻酔ばりがあり、辛くなった奴は自ら針を刺し、眠る。
こうすることで、相手からは狙われないが、何度もそれを繰り返すと死ぬ。
大人に殺されるのだ。
役立たずとして。



『それでは始め』



冷淡とも言えるとても冷たい声がした。
感情が無いように思えるのは、機械を通しての声だからではないだろう。
ここにいる大人は、ほとんどの奴が感情の無いような顔をしている。


ビュン


空を切る音が、耳の側でした。
相手の拳が顔を掠めたのだ。
攻撃されたとわかった瞬間、後ろに軽く飛ぶ。
さっきとは違う子供から、蹴りが飛んでくる。
それを今度は受け流す。そして、相手の背後に素早く周り、首に手刀を入れ気絶させる。



攻撃をされたら交わす。そんなことを繰り返した。



______そろそろあの時間だ。



あの時間というのは、天井付近から銃やナイフなどの武器が落ちてくる時のことだ。

これは、子供たちの残っている数が10くらいになるとやってくる。
つまり、30人の子どもが気絶したということ。



ドサドサドサッ


ドームの中心部に降ってきた武器の数々。
一気に子供たちは、その場に向かう。

ナイフをとった者は、近くにいる標的に躊躇なく斬りかかる。
銃を持った者も、すぐさま引き金を引く。焦点距離は0に等しいため、外れることはない。

銃に入っているのは実弾ではなく、麻酔弾。
撃たれた者は眠り、相手にされなくなる。


【眠った者は死者と同じ。死者は相手にするな。生きてる者を殺せ。】


これがここのルールだ。
眠った者が相手にされないのは、死んだと同じだから。
生きてる者を殺し、自分を生かす。
それ以外、子供たちの頭の中には無い。


子供たちが武器のところへ群がるなか、1人ドームの端へ向かう。
今日落とされた武器の中には、長距離型の銃は無かった。そのため、相手から離れればそうそう当たることは無い。
そもそも、無我夢中の奴らに、冷静に状況を判断している奴が負けるわけが無い。


武器が落とされて50秒弱。
残りは2人だけ。
1人は、落とされた武器で互いに殺し合い、生き残ったサバイバルナイフを持つ兵器。もう1人は手ぶらだ。
どう考えても、、サバイバルナイフを持っている者の方が有利だ。


ああぁ!と、叫びながらサバイバルナイフ片手に突っ込んでくる相手。
武器を持ってないから殺れると思ったのだろうか。
しかし、相手との間が離れ過ぎている。

こちらに向かって来ているとわかった瞬間、思考はめぐる。



______サバイバルナイフ……。



相手との距離があと数メートルとのところで、逆に相手に飛び込んで行く。
相手と接触した瞬間、ドサッと地面に倒れる相手。


残ったのが1人になったと、ドームの上部にあるガラス張りの部屋から確認した大人は、ドームの扉を開ける。


生き残った兵器は、なにも無かったような顔をしながらサバイバルナイフを折り、扉に向かった。


残った者の名はT-18。

収容所の中でも強いと分類される兵器だ。



___なんでこんなに強くなったのだろうか。
なんで…なんだろうな。



気が狂いそうなほど真っ白な長い廊下で、ふとそんなことを考えた。
考えたって意味がない。ここは、兵器を作るための施設だ。強くなるのは当たり前。



___当たり前…か。



その後も、虚ろな目でただただ長い廊下を歩いた。



兵器とはいえど、子供たちにも部屋はある。
T-18は自分の部屋とされたところへ戻る。

この部屋は2人部屋だ。
といっても、2段ベッドと風呂、タンスや、木で作られた安易な机が設置されているだけの、とても狭い部屋だが。

T-18は、2段ベッドの横につけてあるはしごを登り、上のベッドに布団を被らず横になる。

T-18と一緒に生活しているのはT-19。
サバイバルナイフを持ち、襲って来たのがそうだ。



___馬鹿だろあいつ。普通叫んでたら気づくし、2人だけなんだから、狙われるのはわかってるだろ。
いろんなとこがガラ空きだし、ナイフ上に挙げながら突っ込んで来たら、鳩尾狙われるって、わからねえかな?
いや、わからねえのか。馬鹿だから。



ひどい言われようである。

T-18とT-19は、収容所の中ではかなり珍しいくらい仲がいい。
そんな仲の良い2人だけだから、T-18が容赦ない攻撃をするのではなく、何か違う楽しいアクションを起こしてくれると期待しなかまら最後の攻撃をした。
だが、冷徹なT-18がそんなことをしてくれるはずがなかった。


しばらくすると、T-19が帰ってきた。
T-18は、ベッドから上半身を起こす。


「おかえり馬鹿野郎」


T-19が、帰って来てそうそう言われた言葉がこれだ。


『悪いな、つい本気になっちまった。お前強くなったよな。』などという、労いの言葉をもらえると思って期待していたT-19は、予想を斜め上行った言葉にショックを受ける。

部屋の奥の隅に行き、悲しそうに体育座りをしているT-19に、お構いなしにT-18は続ける。


「殺し合いつってんのに、なんでお前はあんな隙だらけな格好して向かってくんだよ。本物の戦場だったら死んでるぞ。」


T-19は言い返す言葉が無いのか、それともショックから立ち直れないのか、体育座りしたままだった。

さすがに言い過ぎたかなと、思ったT-18はため息交じりに言う。


「はあ。外にでも行くか?」


「行く!」


ぱああと、顔を輝かせながらT-19は立ち上がった。
それほど、T-18に声をかけてもらえたことが嬉しいのだろう。



_____さすがにずっと怒られるのはね…



外というのは、収容所の一部にあるもので、脱走できないようにフェンスと、有刺鉄線が張ってある。
ここからは、ちょっとした草原と、木々がみえる。時々動物の鳴き声も聞こえてくる。


「やっぱり強いよね。」


フェンスに寄りかかりながら、T-19は目の前にいるT-18に笑いかける。


「強くねえよ。現にここから抜け出せないでいる。抜け出そうとするのに……できねえんだ。」


うつむき、服の端を握りしめ、悔しそうに言う。


「......それでもさ、抜け出そうとするだけでもすごいと思うんだ!オレなんてさ、怖くて抜け出そうとも思えないもん。
強いよ…君は..........オレに殺されるかもしれないのに、心配してくれたんだもん!」


笑うT-19。その声には強い決心のようなものが、こめられているように思えた。

T-18は、顔を上げ、T-19を見る。


「.........そうか。」


T-18の顔には戸惑いの表情があった。
あんなこと言われたことが無かったため、どんな顔をすればいいのか分からないのだ。

それが分かったのか、T-19はニコニコと笑ながら、うん!と首を縦に振った。



T-18とT-19は、その日も外で話しをしていた。


「今日も勝てなかったな〜」


T-19がフェンスに寄りかかりながら言う。
彼が動くたび、ギシギシと独特の音がしている。


「お前に負ける程俺も弱くねえ。」


T-18もフェンスに寄りかかる。

「ふふ。容赦ないなあ。」

楽しそうに笑うT-19。その笑みは、とても無邪気で、見てる側の人間も、自然と笑みがこぼれるようなものだった。


「……明日は、戦わなくてもいいんだよな。」


T-18は右手を前に出し、手の甲を寂しそうに見ながら、ポツリと言う。
いつも堂々として、大人のような雰囲気をまとっている彼からは、とても想像出来ないものだった。
その姿を見たT-19は、一瞬笑みを消し、それが嘘だったかのように、また無邪気に笑う。


「そうだね。でも、オレは勉強できないから辛いや」


ふふっ、と軽く握った手を口元に持って来て笑う。


「できてる方だろ。」


T-18に、T-19は そうかな、と返す。


その姿は、学生たちが話しているのと全く同じようだった。
彼らも一人の人間で、普通だったら学校に通っていたはずだ。



_______それが、それがなんで…こんなトコ(収容所)にいるんだろうな。



T-18はその考えを振り払うかのように、頭を振る。



_______こんなこと考えてたら、こいつが心配しそうだ。



「君がそういうならそうなんだよね!
よっし!自身でてきた!!」


がんばるぞーと、拳を握る。そんな姿のT-19を見たT-18は、フッと笑う。


「あ!今笑ったよね!笑ったよね!
絶対笑ったよ! ねぇ!もう一回笑って!!」


T-18の前に来て、ねえねえ!と、無邪気に笑いながら聞く。
そんなT-19の頭に手を乗せ、うるせえと、言いながら、その横を通り過ぎる。


「えー。ひっどいなぁ。
あ、帰るならオレも帰る〜。」


口を尖らせながら、文句を言う。
そして、自分の横を通り過ぎたT-18の横にすぐつく。
まるで、自分の居場所だ、とでもいうかのように。


彼らは《勉強》という言葉を発した。
それは、普通の学生がするようなものと同じだ。
ただし、教養を学ぶものはない。

この勉強というのは、元から考える脳があるものしか受けない。
元から考える脳がある者以外は、“自分以外を殺す” ことしか考えられない。
いや、考えられないようにされたのだ。

自分以外を殺すことしか考えられない者に、勉強を教えても意味がない。
戦場で敵の言葉を理解し、それを逆手に取り敵襲をかけるなど、その者たちにはすでにできない。
そのため、大人たちは《勉強》する必要はないと、判断した。

“元から考える脳がある者” というのは、T-18やT-19のように、名の最初に T がつき、会話をしたり、感情がある者たちだ。

“自分以外を殺すことしか考えられない者” は、名にFがつく。意味はそのままだ。

名前につく英単語には意味がある。
Tは、テラと読み、ギリシャ語で『怪物』
Fは、英語で異常な人を表す、『frootloop』からとったらしい。

この収容所にいる者たちは、主にこの二つの班に分けられる。
他にも、Z,A,P,などがある。
これは、まだ幼い歩き始めたくらいの子がいるところだ。
だんだん班が変わっていき、最終的には、戦場に駆り出される。そして、待っているのは 死か…。それを決めるのは己自身。強くなければ死ぬ。強ければ生きる。
しかし、生きればまた、人を殺すという生き地獄を見る。
どちらに転がっても、子どもたちに待っているのは地獄だけなのだ。



部屋につけば、明日のために勉強を始める。
机____といっても、ただ木の板が棒に乗っているような感じで、机と表していいのか不安だが、彼らはそれを机と呼んだ。椅子も同じような要領でつくられている。______に参考書のようなものと、ノートを広げる。
それらは、一人の兵器に一つづつ配布される。


「うん。さっぱり問題がわからないな。」


T-19は、参考書に書かれた問題を見た瞬間に言う。
そんなT-19に呆れつつも、T-18は問題を解き始めた手を止め、T-19に解き方を説明する。

昔________と言っても前世だが、その時の記憶があるから、皮肉なことに問題がスラスラ解けてしまうT-18は、いつもテストでは満点を取っていた。
そんなT-18に、T-19の憧れは増すばかりだ。
今も、説明など聞かずに、T-18の顔をニコニコしながら眺めている。


「……おい。聞いてないだろ。」


T-19が、話を聞いてないとわかったT-18は、眉間にしわを寄せながら、T-19に問う。



________あ、怒らせちゃった…。



冷や汗を流しながら、顔の前で手をぶんぶんと振りながら、否定の言葉を言う。
T-18は半ば呆れながら、ため息をつき、また最初から説明を始めようとする。


「はぁ。ちゃんと聞けよ。もう説明しねえぞ。」


「ごめんごめん。いやぁさ、君の顔を見てたら、勉強する気無くなっちゃって。」


T-19のおちゃらけた雰囲気とは違い、T-18はドン引きした顔で答えた。


「きもい。」


その反応に、T-19は危機感を覚え、今度は真面目な顔で謝った。


またため息をつきながら、今度こそ説明を始める。
しかし、T-19は聞かなかった。



_______かっこいいなあ。君は。
いつも堂々としてて、大人たちに怯えないし、何より強い。
オレの憧れだよ。そんで、大好きなんだ。
……だからさ、オレが死んでも一生忘れないでね_________



その心の声は、まるで自分が死ぬのを察しているような感じだった。



後日テストは行われた。
何もないドームとは違い、この部屋には簡易的な机と椅子が並べられていた。
しかし、殺風景なことには変わり無かった。



_______……相変わらず嫌な雰囲気しかしないよな。ここは。



出入り口は一つ。椅子の向きから察して、部屋の後ろにある。

7メートルほどの長さの机。一つの机に、椅子が5脚ずつ置いてある。
木製のもので、彼らの部屋にあったものと同様に、とても簡易的に作られている。

席順などは特に決まっていないが、大抵、番号___T-18だったら、18を指す____順に座っている。

このテストは、Tだけではなく、Kという班も行う。
前に説明し忘れたのだが、このK班は、戦略を考えるためにだけ生かされている兵器たちだ。
T班とは逆で、テストなどの勉強をする回数が多い。そのため、自然と戦闘力は低くなる。


話を戻そう。

アルファベット順的にも、Kが前列あたりに座り、Tが後列に座る。

T-18T-19は自然と隣になってしまうため、T-19はT-18について行く感じで、席まで歩いていた。
何人か席に着き、静かに時間が来るのを待っている。さすがに、T-19も話さなかった。


_______まだ試験官たちは来ていないようだ。
…珍しい。



試験官とは、収容所にいる大人と一緒だ。
しかしT-18は、テストを行うときにつく者たちなのと、戦闘を行わせている大人と区別させるため、試験官と呼んだ。

大人はいつも、兵器たちを見張るため、部屋の四隅にいる。
今までそんなことなかったため、T-18は不思議に思った。


_______うー。沈黙が耳に痛い。みんな話そうよ!大人がいないんだしさ!



T-19はT-18と違い、大人たちがいないことを不思議に思うどころか、沈黙に耐えられず、T-18に話しかけようとしていた。

2人が考えているうちに、席に着いた。
T-19は座った後、T-18に話しかけようと、顔を横に向け口を開ける。

すると、カツカツ と、無機質な、自分たちと同じ兵器のものではない足音が聞こえた。

その音に気づいたT-19は、ビクッと体を硬直させた後、ゆっくりと前を向いて、姿勢を伸ばした。
T-18も、机に突っ伏している体勢から、T-19のように姿勢を伸ばす。

大人たちは、真っ白な白衣に身を包み、無表情で部屋に入って来た。
ちょうど入ろうとしていた兵器は、一度止まって、大人を怯えた顔で見送る。
部屋の間を歩き、席につこうとしていた兵器は、急いで自分のところとなっている席に着くか、近くにある椅子に座った。



________なんでこんなに、怯えなきゃいけないんだろうな…。
ただの大人なのに……。



彼らは殺気などを発しているわけでは無かった。しかし、兵器たちには、『大人は怖いもの』という考えが身に染み付いている。
恐れて、大人たちから逃げるようにするのも無理はない。



数分後、そのテストは開始された。
制限時間は40分。この間に、全部で30以上はあるであろう問題を解かなくてはならないのだ。

その問題が簡単なら、解けないこともないだろう。
しかし、文章問題が8割を締めている。おまけに内容も高校生以上だ。
どう考えても、40分で終わるような内容ではない。



________毎回思うが、こんな難問全部解けてるやついるのか?



T-18は、高速で動く頭の片隅で、そんな事を思った。
彼は、このテストを制限時間内に終わらせたことはない。つまり、終わらなくても何も害はない。
しかし、悪すぎてもいけないことは、本能的にわかっていた。


彼ら兵器の中に、大人たちがたてた基準値まで達していない者はいない。
そのため、大人たちも罰を与えなかった。

もし______兵器の中に基準値を達していない者がいたら、次の日にはどうなっているだろうか?______そこまで考えて、T-18は思考を停止させた。



_________やめよう。恐怖をかきたてたって、意味ねえ。今はテストに集中しろ。



考えを追い出すかのように、軽く頭を左右に振り、意識をテストに集中させる。


カリカリと、部屋中に文字を書く音が響く。
時折、大人が監視のために歩く足音が聞こえるくらいでとても静かだ。

ピピピピピピッと、無機質な、決して大きくはない音が部屋中に木霊した。その音が聞こえると、今まで聞こえていた音とは違う音がいきなり聞こえてきたため、体を跳ねらせる兵器が何名かいた。
そして、兵器たちは静かに筆記用具を置き、大人の指示を待った。
部屋に沈黙が流れると、大人は口を開いた。


「解散。」


その一言を聞いた兵器たちは、一斉に立ち上がり、出口から近い者から足早に去っていった。

部屋の前の廊下には、多くの兵器のため息や、ほっとした雰囲気が漂っていた。

T-19は部屋から出ると、T-18の後ろから横にすぐ移動した。そして、T-18の横顔を確認する。



_________うん!やっぱり君はかっこいいよね!
いやな気分も吹っ飛ぶよ!!こんなこと実際に言ったら殴られそうだけどね。



それに気づいたT-18は、またか…と慣れたT-19のその視線に対してため息をつき、T-19を少しだけ睨んだ。
すると、視界の隅に大人が映った。


大人がいた場所は、長い廊下の途中にある曲がり角で、ほとんどの兵器が気づいていなかった。
気づいた1人の兵器はヒッと、声を漏らした後、自分の部屋へ走って行った。

それを合図に、他の兵器も走りながら帰って行く。
中にはわけもわからず、周りが走っているから走っている兵器もいるだろう。


_________なんかあの大人、他の大人と違う気がする。はっきりとどこが違うのかはわからないが、なにかが違う……。


T-18は、他の兵器の流れにのって走りながら、横目でその大人を観察した。

その際、大人がT-18の視線に気づいたのか、はたまたT-18の勘違いか、目が合った気がした。
その瞬間、T-18は大人から目を離し、前を睨みつけるように見ながら、無意識にさっきより走るスピードを上げていた。



______!……気づかれた。見ていたのが気づかれた。



目が合った瞬間にT-18の本能が告げた。



_____________あの大人は、いつもいる大人より恐い。これ以上、奴を見てはいけない。見られてもダメだ_____________と。



そして、無意識のうちに、T-18は全速力で走っていた。



気がついたら、T-18は自分たちの部屋についていた。
扉の隣にある鉄の壁に寄りかかり、息を整えていた。
T-18の目の前では、T-19が膝をつき、同じく息を整えている。



数分して、だいぶ息が整ってきたのか、T-19が少し顔を上げT-18に話しかけた。

「ど、どうしたの? いきなり全速力で走ったりして。」

「……一番最初に走り出したやついただろ。」

「え?うん。いたね。あの子一体どうしたんだろうね。」

T-19のその答えから、あの大人を見ていなかったことがわかったT-18は、それを含め説明する。

「見てなかったのか…。まあいい。
そいつが走り出したところの角に、丁度大人が1人いた。」

「あー。そう言われれば、大人を見た気がする…。で、その大人がどうかしたの?」

「あいつは危険だ。具体的に説明はできねぇけど、あいつは他の大人と違う。」

そこで言葉を切り、椅子に腰掛ける。
そして、深いため息をついた。

T-18が、ここまで警戒することなど今までなかった。

死んだはずなのに

死んだはずなのに

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-02-27

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