『 おとぎの国の大事件 』

ある日、おとぎの国で裸の王様が暗殺される事件が起きました。
毒針を刺されて死んでしまった王様。
皆が犯人を探し回っていると、一人の魔女が言いにくそうに申し出て。

「あのー、私『茨姫』の魔女なんですけど……その毒針、返してもらえません?」

糸車を置きに行く途中、城で休憩をしている時に裸の王様が偶然触ってしまったようです。

「安心してください。王様は眠っているだけなので、すぐに目覚めますよ」

魔女はそう言うと、解呪の方法を言い残しいそいそと帰ってしまいました。


「俺は、嫌だ」
「僕だって嫌ですよ」

それから数日後。
世界中から王子様たちが集められました。
魔女の呪いを解くのは実に簡単な方法。
王子様の口づけさえあれば、すぐに目覚めるのですから。


それから更に数十年後。
王様が目を覚まさなかったのは言うまでもありません。

『 おとぎの国の大事件 』

『 おとぎの国の大事件 』

極短小説。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-02-24

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