7日目の朝に
初めまして、名もなき作家・世界の深月です。
この小説があたしのデビュー作になるのですね!
この小説はもともと、ルーズリーフの上に手で書いていました。
この作品を読んでいくうえで、、、
みなさんには誰が主人公なのかを是非考えてほしいです。
またこの物語を読んで、少しでもあなたの人生についての考え方が変わったら、幸いです☆
一度きりの人生なのだから、自分のやりたいように生きるのがベストなのです。
ただ!犯罪はダメですよ。
あくまで、国家権力の下で、です。
それでは読んでください。
プロローグ
大切な人って誰にでもいるよね。
その対象はなんだっていい。家族、友達はもちろん、彼氏、片思いの人、憧れの芸能人、学校の先生、犬や猫だっていい。物だっていい。
大切な人ってより、大切な物。手放したくない何か。かけがえないもの。
大切な何かがあるだけで、人は大きく変われるのだから。
例えば、恋をする、
それだけで、世界が180度変わったかのように感じれる。
昨日までの空と、今日の空は何かが違く見える。それは天気のせいもある。曇りと晴れでは限りなく違うから。
だけど、そういうことじゃなくて。
見え方、というよりは、空に対する考え方が違くなった感じ。
考え方が違くなるのだから、見え方もそりゃ変わる。
あたしは気づかれなくていいから、ただそっと君のそばにいれるだけで良かったの。
少しだけ近い所で、眺めてるだけで良かったのに。
もう時機にそれも叶わなくなる。もう少しで君と、この世界と、
こんな気持ちで空を見上げたけど、あたしの中に君がいてくれるから、
灰色の曇り空だって、こんなに晴れやかに見えるよ。
まるで雨上がりの、全てがリセットされた、虹が架かるための大空。
君へ。
この声は、君に届いているのでしょうか。
今すぐにでも君に会いたい。
今にも、君のもとへ走って行きたい。あたしの足が動くうちに…。
*1日目*
他愛のない毎日がエンドレスに繰り返される日々だけど、退屈じゃない。むしろ俺は好きだ。特に――奴らと過ごす放課後は、格別に。
「おい!Mック行くぞ!」
「おーし、来た!ほら何してるんだ、尚人」
「おう、わりい。ぼーっとしてたわ。どれ、行くか」
「おまえって本当天然つーか何つーか…な!」
「よし歩くぞー」
俺の名前は佐倉尚人、高校3年生だ。何にも取り柄がないために進路に悩まされる日々が続いているが、こいつらといる時だけは、心が休まる。あとは、家にいても学校にいても、どこにいたって俺はダメ人間なんだ、って思い知らされる。だからといってどこかの犯罪者のように、世間を嫌ったり、この世のものなど全て死んでしまえばよいのだ、なんて思ったりはしない。
退屈じゃない。だけど、どこか憂鬱さを感じてたりはする。
だからこそ、こいつらといると悩みも憂鬱も吹っ飛んで、俺は1日で1番俺らしくなれるんだ。
「いやー、今日の空マジ最高だわ」
「和也、いきなりどうしたよ」
「いやね、俺最近空に目覚めたのさ。・・・」
それは突然のことだった。それはいきなり、俺の神聖な、大切な、かけがえのない放課後につけいってきたのだった。
「あの…佐倉尚人君!!」
後ろから女の声がした。透き通った甲高い声。俺は声の主の方へ振り返った。
俺の学校の制服を見にまとった、女が立っていた。淡い黄色のシャツに、赤のチェックのリボンとスカート。髪は短くもなくロングなわけでもない、中途半端な長さ。ボブというのか…分からないが。背丈も普通だし、顔も普通。
そんな、捉えようがない平均的な女が俺の名を呼んだ。
「おい、彼女と知り合いかよ」
「まさかもう付き合ってたり~」
「ヒュ~!!もっと早く言えよな」
奴らが俺をからかってきた。くっそ、こいつらめ…。
「おめーら、うっせんだよ。知らねーよこんな女。で、俺を呼んだみたいだけど、何?」
奴ら3人にはあとで仕返しするとして、俺は女の方に向き直った。すると、女は頬を赤らめ、言った。
「2人で話したいことがある…の。良いですか??」
女はずっと俺の目を覗き込んでくるような姿勢だった。姿勢だけじゃない。心までそうかのようだ。あまりにも瞳が真っ直ぐすぎて、俺は女を直視できなかった。
「尚人君」
咳払いを一つして、春磨は続けた。
「僕たちはこれからMックに行ってくるよ、3人で」
「尚人、俺らのことは気にするな。人生の大勝負、バシッと決めてこい!」
いったい、こいつらは何を言い出すんだ、いきなり。俺は困惑してきた。
「じゃーな!尚人!あ、君。どうかこの佐倉尚人なんていうつまらない男をよろしくお願いします」
悠希は意味不明な発言をした。そして嵐がいつのまにか通り過ぎていたように、奴らは俺の視界から姿を消した。
残されたのは俺と、見知らぬ女。誰だ、こいつ。
「なあ、奴ら行っちまったじゃねえかよ。どうしてくれんだよ。おい」
俺は苛立ちはじめていた。名前も知らない女と2人になるし、和也たちとMックには行けねえし。すると、女は口を開いた。
「私、川原朝陽って名前です。尚人君のことは知ってます、私…」
「なんだよ、さっさと言えよ」
俺の苛立ちはMAXに近づいてた。なんなんだよ、いったい…。
「おいっ「私、尚人君のことが好きです、前から。だから私と付き合って下さい!!1週間だけ」
虚を突かれた。「好き」…?その言葉は、俺には無縁のものだった。ただ、家族がいて奴らがいて、授業があって悩みにうなされる、日々だったから。しかも、何故1週間なのか。限定なら最初から付き合わなければいい。交際なんていう、面倒くさい愚かなことなど。
「あの、ダメですか?」
女は…川原朝陽は心配そうな顔つきで、また俺の目を覗き込んできた。なぜか、俺はこの女の願いを叶えてやりたくなった。別に好きなわけでもないのに。今の今まで知りもしない、赤の他人だったのに。なぜ…。
「付き合いごっこに興味はない。他をあたってくれ」
危ない。川原朝陽の瞳をずっと見ていると、俺のペースが乱されそうになる。というか、俺の理性が働かない、そんな感じ。
しかし彼女はしぶとかった。
「お願いします!本当に1週間だけでいいんです。お願いします!これは遊びじゃないの!」
出来るだけ、目を合わさないように努力した。目が合ったら、その瞬間に終わりだ。女はお願いしますの一点張りで、これじゃあ、らちが明きそうにもないから、俺は質問をすることにした。
「何で1週間なの?そんくらいだったら、付き合わなくてもよくね?なに、友達に彼氏出来たって、見せつけたいの?」
「違う!見せつけるとかじゃない。1週間なのは、私があるびっ…言えない。ごめん、言えない」
女は黙り込んでしまった。あるび?何それ。そんなことより、俺はこの女を放っとけないと思ってる自分に気付いた。1週間だけなんだし、別にいっか、って。
「分かった、1週間な。それ以降は一切関わらないと約束しろよ」
そう俺が言うと、女はばっと顔を上げた。その顔はぱあっと光り輝いているように見えた。
「ありがとう!私のこと、朝陽って呼んでね」
なに!?朝陽、だとぉ?
「じゃあ、私はなおって呼ぶから♪早速だけど、メアド交換しよー!ああ!それと、家の近くまで送ってね!!」
な、ななな、なんだとぉ!?この俺がか。こんな女にか。冗談じゃない!!
「冗談じゃない!!」
「うるさい!尚人!なんっなのよ」
今日は疲れすぎて、あの後どうやって家に着いたのか、記憶が抜けていた。
「ああ、わりい姉ちゃん」
「あんた、身の程わきまえなさいよ~」
「へいへい」
姉貴1人だけでも厄介なのを…うざったしい女が1人増えた!
これからの1週間は地獄絵図だーっ!!と、自分の運命に悲嘆する俺だったが、まさかこれからの6日間、どんなことになろうかなど未だ知る由もないのであった。
7日目の朝に